根尾昂の「投手転向」は最善の選択なのか。中日OBの最多勝投手の見解は? (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

目指すべき投手像

── これまで敗戦処理とはいえ、一軍のマウンドに上がりました。あのピッチングを見て、何か思うことはありましたか。

「150キロが出ていましたし、間違いなく野手が投げるボールではありません。ただ、一線級の投手と比較すれば明らかに劣っていますし、いま5回を投げきれるかとなればクエスチョンです。なかには厳しい指摘をする方もいると思いますが、僕自身は投手として伸びる要素はまだまだあると思います。しっかりトレーニングで鍛えて、経験を積んでいけば、かなりのレベルに達するのではないかと。持っているポテンシャルはさすがです」

── 今後、どのようなピッチャーを目指すべきか。モデルとなる投手はいますか。

「モデルになる投手はパッと浮かびませんが、あれだけのストレートを投げられるわけですから、技巧派ではないですよね。根尾のボールは豪球というより、快速球のイメージがあります。バタバタと三振をとるというよりは、キレのいいボールで打ちとるタイプ。ストレートを主体としながら、変化球とのコンビネーションで勝負していくんではないでしょうか。力勝負では厳しいということは、本人も自覚しているでしょう」

── 先発タイプか、リリーフタイプか、どちらだと思いまか?

「どっちのタイプかというより、先発ローテーションを目指してほしいですね。セ・リーグは投手が打席に入るわけですから、根尾が投げる試合は投打で期待できる。それだけでもチームにとって大きな武器になるはずです」

── これからさまざまな壁にぶち当たると思いますが、まず越えなければならないものはなんだと思いますか。

「継続して結果を残せるかどうかだと思います。今までは野手をやりながらマウンドに上がって、それなりの結果を残してきましたが、投手専任となるとシーズンを通して結果が求められる。投手というのは、毎回調子がいいわけではありません。むしろ、調子がいい時のほうが少ないくらいです。そのなかでしっかり試合をつくることができるのか。高校時代もピッチャーをやっていましたから、その部分は理解していると思いますが、プロの一軍相手に投げるとなると、思っている以上に大変です。

 とにかく彼の長所であるストレートを磨いて、そのうえでバッターを抑える術を身につけてほしい。年齢で言えば、大学4年生と同じですし、まだまだ焦る必要はない。しっかり段階を踏んで、ステップアップしてほしいと思います」

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る