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山﨑武司のスラッガー診断。2年目の佐藤輝明、同級生の清宮幸太郎・安田尚憲、悩めるホームラン王などを分析した (3ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei
  • photo by Kyodo News

【石川昂弥(中日)】

成績:37試合29安打5本塁打19打点、打率.225、出塁率.264

 石川はコロナ感染で離脱もあったなかで、その才能の片鱗を見せ始めています。僕は、素材的には佐藤や牧よりも上で、数年後には彼らを上回る数字を残すポテンシャルがあると評価しています。課題は、まだミスショットが多いこと。初球や自分に有利なカウントの時に一発で仕留められるようになると打率も上がってくるし、本塁打も自然と伸びてくると思いますよ。(5月27日の試合で負傷し、出場選手登録を抹消)

【山川穂高(西武)】

成績:37試合42安打16本塁打36打点、打率.331、出塁率.419

 パ・リーグの今年の本塁打王は山川で決まりじゃないですか。それくらいのペースで量産していますよね。ここ2シーズンは、打率も低く苦しんでいましたが、今年はコンディションが段違いにいい。体がキレてますよ。

 その指標として、今年の本塁打、長打は高めのボールを捉えていることが多い。高めのボールを仕留められるということは、足を上げる時にタメが効いていて、軸足に力が伝わっているということ。2018年から2シーズンは40本以上打っていたわけですから、ここ2年はコンディションの問題もあって自分のスイングができていなかっただけで、今が本来の姿。この状態が続くなら、50本以上打ってもまったく驚かないですね。

【杉本裕太郎(オリックス)】

成績:38試合28安打3本塁打10打点、打率.215、出塁率.297

 最近はヒットも増えてきましたが、昨年の本塁打王としてはやはりホームラン数が寂しい。選手には個々の"リズム"があって、杉本はそれもよくなかったんだと思います。開幕当初に何本か打てていたら、また違ったんでしょうけどね。

 彼の場合は山川と逆で、体のキレが悪いように見えます。僕もそうだったけど、体の大きな選手は微妙な体のキレの違いでけっこう成績が変わってくるんです。たとえば110kgの選手が5kg痩せても飛ばす力はそんなに変わらない。むしろ、その減った5kgが体にキレをもたらす恩恵のほうが大きいと思います。

"昭和的"と言われるかもしれませんが、走って体重を落とすことも必要かもしれません。そこからバッテイングの技術に向き合うほうが、結果的に長打を増やし、本来の調子に戻るのも早い気がします。実質的にレギュラー2年目のシーズンで、他球団のマークも変わって焦る気持ちもあるでしょうが、プロではそういう時こそ地道にやっていくことが大事。底は抜けた印象がありますし、ここから頑張ってほしいですね。

(後編:「対決が嫌だった」投手5人。野村克也監督に「今日は外して下さい」と頼んだ1位は?>>)

【画像】2022プロ野球 ブレイク候補の選手たち

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