2022.05.30

山﨑武司のスラッガー診断。2年目の佐藤輝明、同級生の清宮幸太郎・安田尚憲、悩めるホームラン王などを分析した

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei
  • photo by Kyodo News

山﨑武司インタビュー 前編

スラッガー診断

 今シーズンのプロ野球は両リーグとも若手打者の躍動が目立ち、チームの主軸を担う選手も増えている。歴代20位となる403本の本塁打記録を持つ山﨑武司氏は、若手スラッガーたちをどう見ているのか。復調した強打者や、悩める大砲も含め、各選手の現状を語り尽くした。(各打者の成績は5月29日現在のもの)

開幕から安定した活躍を続ける阪神の佐藤開幕から安定した活躍を続ける阪神の佐藤 この記事に関連する写真を見る ***

【佐藤輝明(阪神)】

成績:53試合57安打12本塁打29打点、打率.275 、出塁率.324

 佐藤は昨シーズンの後半に失速しましたが、周囲からいろいろ言われすぎた影響もあって、自分のバッテイングを見失ってしまったんでしょうね。でも、2年目はキャンプからしっかり自分で考えてやってきて、その結果が今の成績につながっているんでしょう。

 もともとの能力は高いですし、僕個人としては、技術的に大きく変わった点はないように見えます。強いて言うなら、足の上げ方を小さくしたのが彼には合っているのかな。昨シーズンに調子が悪かった時は、上げた足のストップが利かなくなっていたので、それを変えて全体的にも対応力は上がっている印象があります。甘い球を捉えられていますし、今年は昨年の後半のような状態になることはないはずです。

 あとは使われ方でしょうね。今シーズンは2番で起用されることもあって安定しなかったですが、阪神は佐藤を中心に考えて打線を組んだほうがいい。それくらいの素材だと思っています。甲子園では左打者が不利ですが、それでも3割、30本、100打点に届くポテンシャルは十分にある。4番はチームの中心ですから、阪神は今シーズン、彼と心中するくらいの気持ちで起用をしてほしいです。

【牧秀悟(DeNA)】

成績:40試合47安打13本塁打37打点、打率.324 、出塁率.412

 昨シーズンは佐藤に注目が集まりがちでしたが、非常に技術が高いバッターですね。2年目とは思えないほど穴が少ない選手です。特に、逆方向にも大きな当たりを打てるのがいい。生まれ持った素材は佐藤のほうが上かもしれませんが、シーズンを通しての"安定感"という意味では牧のほうが上でしょうね。

 プロ野球選手としては決して体格に恵まれているわけではなく(178cm)、一見するとパワーがあるようには見えません。でも、スイングの再現性が高く、技術でホームランを打つタイプに見えます。ホームランが出やすい横浜スタジアムが本拠地というのも、本数を増やすという点では大きいですね

 昨シーズンと今シーズンのスイングを映像で比較してみたんですが、モデルチェンジや、技術的に何かを変えた点はなかったですかね。1年目の経験値、相手投手の情報によって読みが鋭くなった。数字的には今年のほうがいい成績を残すと思います。3割、30本、100打点に近いところまで届きそうですし、タイトル争いにも加わってくるはず。今後のキャリアを考えても、息の長い活躍をするんじゃないでしょうか。