山﨑武司のスラッガー診断。2年目の佐藤輝明、同級生の清宮幸太郎・安田尚憲、悩めるホームラン王などを分析した
山﨑武司インタビュー 前編
スラッガー診断
今シーズンのプロ野球は両リーグとも若手打者の躍動が目立ち、チームの主軸を担う選手も増えている。歴代20位となる403本の本塁打記録を持つ山﨑武司氏は、若手スラッガーたちをどう見ているのか。復調した強打者や、悩める大砲も含め、各選手の現状を語り尽くした。(各打者の成績は5月29日現在のもの)
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【佐藤輝明(阪神)】
成績:53試合57安打12本塁打29打点、打率.275 、出塁率.324
佐藤は昨シーズンの後半に失速しましたが、周囲からいろいろ言われすぎた影響もあって、自分のバッテイングを見失ってしまったんでしょうね。でも、2年目はキャンプからしっかり自分で考えてやってきて、その結果が今の成績につながっているんでしょう。
もともとの能力は高いですし、僕個人としては、技術的に大きく変わった点はないように見えます。強いて言うなら、足の上げ方を小さくしたのが彼には合っているのかな。昨シーズンに調子が悪かった時は、上げた足のストップが利かなくなっていたので、それを変えて全体的にも対応力は上がっている印象があります。甘い球を捉えられていますし、今年は昨年の後半のような状態になることはないはずです。
あとは使われ方でしょうね。今シーズンは2番で起用されることもあって安定しなかったですが、阪神は佐藤を中心に考えて打線を組んだほうがいい。それくらいの素材だと思っています。甲子園では左打者が不利ですが、それでも3割、30本、100打点に届くポテンシャルは十分にある。4番はチームの中心ですから、阪神は今シーズン、彼と心中するくらいの気持ちで起用をしてほしいです。
【牧秀悟(DeNA)】
成績:40試合47安打13本塁打37打点、打率.324 、出塁率.412
昨シーズンは佐藤に注目が集まりがちでしたが、非常に技術が高いバッターですね。2年目とは思えないほど穴が少ない選手です。特に、逆方向にも大きな当たりを打てるのがいい。生まれ持った素材は佐藤のほうが上かもしれませんが、シーズンを通しての"安定感"という意味では牧のほうが上でしょうね。
プロ野球選手としては決して体格に恵まれているわけではなく(178cm)、一見するとパワーがあるようには見えません。でも、スイングの再現性が高く、技術でホームランを打つタイプに見えます。ホームランが出やすい横浜スタジアムが本拠地というのも、本数を増やすという点では大きいですね
昨シーズンと今シーズンのスイングを映像で比較してみたんですが、モデルチェンジや、技術的に何かを変えた点はなかったですかね。1年目の経験値、相手投手の情報によって読みが鋭くなった。数字的には今年のほうがいい成績を残すと思います。3割、30本、100打点に近いところまで届きそうですし、タイトル争いにも加わってくるはず。今後のキャリアを考えても、息の長い活躍をするんじゃないでしょうか。
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