PL学園・伝説のコーチが明かす、立浪和義の高校時代とリーダーの資質「先を見る力は群を抜いていた」

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Okazawa Katsuro

 5月24日からプロ野球セ・パ交流戦が開幕する。バンテリンドームで行なわれる中日対西武戦の前には、元PL学園の監督だった中村順司が始球式に登場する。中日には立浪和義監督、片岡篤史二軍監督、福留孝介、西武には松井稼頭央ヘッドコーチ、平石洋介打撃コーチら、中村の教え子が揃う。久しぶりにPL学園が話題になるなか、ひとりのOBのもとを訪ねた。

 PL学園の元キャプテンであり、"伝説のコーチ"とも言われた清水孝悦(たかよし)だ。現役時代は桑田真澄、清原和博の"KKコンビ"の1学年上で、立浪とは入れ替わり。コーチになったのは立浪の代が卒業した年の秋からだが、立浪とは浅からぬ縁があった。

PL学園時代、主将として甲子園春夏連覇を達成した立浪和義PL学園時代、主将として甲子園春夏連覇を達成した立浪和義この記事に関連する写真を見る

高校時代から変わらない人間性

 PLでは"系列"と呼ばれるタテのつながりがあり、このラインに入ると学年を越えて関係が生まれる。

「(同志社)大学の時も、夏休みとか、たまに土日もノックを打ちに行っていたんです。そういう時に、僕のユニフォームの洗濯や食事の用意をしてくれたのが、同じ系列の(当時高校1年)のタツ(立浪)でした。現役の頃の先輩・後輩とはまた違って、こっちにすれば弟みたいなもの。僕も先輩にしてもらったように、系列の子にはケーキを買って行ったり、話をしたり。

 その時に感じたのは、タツは当時からとにかく気配り、目配りができる子でした。野球は先を読むスポーツなので、指導者や先輩が何を考えているのか、そういうところを感じることができればプレーにも生きる。まさにタツはそのタイプでした。気が利く、先を見るという点では、僕が知るPLの選手のなかでも群を抜いていました」

 その姿勢は、プロに進んでからも変わらないと清水は言う。

「高校生の間は先輩や指導者に対してビシッとするけど、卒業したらいい加減になるのがいっぱいいます。でも、タツはプロに進んでからも変わらない。絶対に相手を不快な気持ちにさせないし、やることはやる。その人間性を多くの人がわかっているから、たとえば中日の監督になってから茶髪やヒゲを禁止しても『そらそうやろう』とすんなり納得するんです」

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