2022.03.29

大物不在のセンバツで「守備だけで飯を食える選手になるかも」とスカウトが唸ったふたりの遊撃手

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 今春の選抜高校野球大会(センバツ)は、全体的に小粒と言われた。だが、山椒は小粒でもぴりりと辛いもの。とくに遊撃手には、大学以降での成長次第で楽しみと思わせる有望選手がいた。

2回戦の広陵戦では2安打を放った九州国際大付の尾崎悠斗2回戦の広陵戦では2安打を放った九州国際大付の尾崎悠斗 この記事に関連する写真を見る

新チーム結成以来、無失策

 守備にかけてはナンバーワンと思わせたのは、尾崎悠斗(九州国際大付)だ。あるスカウトは尾崎について「守備だけで飯を食える選手になるかも」と語っている。1回戦のクラーク記念国際戦では、ヒット性の打球を何本もさばいて見せた。足場の荒れた第3試合でも難なく打球をさばく姿には、たしかな技術力が滲んだ。

 チームメイトも尾崎の守備に絶大な信頼を寄せている。

「センター前に抜けたかな、という打球も尾崎が捕ってくれて助かりました。尾崎がいることで内野の守備範囲が広がりますし、下級生への声かけもしてくれるので頼りにしています」(捕手・野田海人)

「(ピッチャーゴロが)グラブに当たって後ろにいった時、『内野安打か』と思ったら、尾崎がしっかり走ってアウトにしてくれたので助かりました。とくに出したくないランナーだったので。ヒット性の当たりが何本かありましたけど、秋の大会から尾崎はアウトにしてくれていて。いつも安心して投げられます」(投手・香西一希)

 尾崎に守備でのこだわりを聞くと、こんな答えが返ってきた。

「一歩目を大事にしています。それとスローイングにも自信があるので、深い位置からでも刺せる自信はあります」

 糸島ボーイズでは投手も兼任し、侍ジャパンU−15代表に選ばれた実績もある。

 ただし、尾崎の課題は打撃にある。現在の打順は9番で、昨秋の公式戦14試合での通算打率は.171に終わった。とはいえ、力強くバットを振る意思は感じるだけに、今後の進化に期待したい。

 九州国際大付は黒田義信、佐倉侠史朗、野田海人とプロ注目の強打者が居並ぶタレント軍団だ。それゆえ、尾崎の超高校級の守備への注目度がかすみがち。「もっと自分に注目してもらいたい思いはありますか?」と聞くと、尾崎はこう答えた。

「新チームになってから公式戦では一度もエラーしていないので、このままノーエラーでいきたいです」

 密かな誇りを胸に、九州国際大付の守備職人はショートのポジションを堅く締める。