空耳で起きた謎のスタメン、もうひとつの「ヘディング事件」など。まさか!が起きたプロ野球珍記録の数々 (4ページ目)

  • 小林 悟●取材・文 text by Kobayashi Satoru
  • photo by Kyodo News

●史上唯一の1試合で勝利&セーブ投手

 1974年8月18日、日本ハムファイターズと近鉄バファローズの試合。日本ハムの先発、高橋直樹は6回の裏2アウトまで無失点のまま、苦手な打者、クラレンス・ジョーンズを迎えた。2球ボールを続けたところでいったん三塁の守備につき、左のワンポイントとして中原勇がマウンドへ。しかし、フォアボールで出塁を許してしまう。再び高橋はマウンドに戻り、最後まで投げ切り、日本ハムが勝利。

「この頃の野球は、先発完投から分業制が進みつつありましたが、投手・三塁手・投手という起用法は珍しかったと思います。5回を投げ終えた時点で勝利投手の権利を得て、そのあとにリリーフとして最後までリードを守ったまま試合終了となることでセーブも記録されることになりました。これを機に、セーブの条件に『勝利投手にならなかった場合』という但し書きがつくようになりました。史上唯一、今後も達成することが不可能な珍記録になったんです」

 3月25日に開幕する今季のプロ野球では、どんな珍事件が起こり、珍記録が生まれるだろう。今から楽しみだ。

【野球豆知識<歴史編>はこちら】

<プロフィール>
カネシゲタカシ 
1975年、大阪府生まれ。漫画家、イラストレーター。『みんなの あるあるプロ野球』シリーズ(講談社)、『野球大喜利ザ・ベスト』シリーズ(徳間書店)など野球の知識が豊富。鉄道にも詳しい。野生爆弾くっきー!ら芸人で結成のバンド「THE SESELAGEES」でドラムを担当。
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