ホークス12年ぶりの最下位がドラフト指名の追い風に。攝津正は26歳でプロ入り、4億円プレーヤーとなった

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

白血病との闘い

 プロでの現役生活を終えた攝津だったが、今は新たな戦いに臨んでいる。それは白血病との闘病である。

 2021年1月に「慢性骨髄性白血病」と診断され、一度は死を覚悟した。だが、「今のところ薬を飲んでいれば問題ない」と医療の進歩を実感しているという。そして、自身の闘病をきっかけに骨髄バンクへのドナー登録を呼びかける活動を始めている。

「自分が発信することで、少しでも多くの人に病気のことを知ってもらいたいんです。幸い自分の症状は軽いですが、困っている人もたくさんいます。ぜひ興味を持ってもらって、ドナー登録にご協力いただきたいですね」

 白血病という困難を目の前にしても、攝津に動揺した様子が見えないのは社会人野球での経験も生きているのだろうか。そう尋ねると、攝津はこう答えた。

「8年も耐えていますからね。苦しい状況を何度もくぐり抜けてきましたし、今は楽しんで過ごせれば病気は悪くならないと思っています」

 最後に攝津に聞いてみた。年齢的にドラフト指名されてはいないが、プロで通用する実力を持った「社会人のエース」はほかにもいるのだろうかと。

 攝津はにっこりと笑って即答した。

「たくさんいますよ! 僕らの頃なら磯村さん(秀人/元・東芝)なんかサイドから155キロくらいのとんでもないボールを投げていましたからね。社会人野球のトップレベルのピッチャーには、プロで十分通用する実力があると思います」

 その言葉には、アマチュア最高峰の世界で8年間を戦った矜持が滲んでいた。

(おわり)

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