2021.12.30

八重樫幸雄が振り返るヤクルトの日本一。サヨナラ負けした初戦を見て「オリックス4勝3敗」の予想を覆した

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

「オープン球話」ヤクルト日本一 特別回

【「オリックスの4勝3敗」を予想していた】

――さて、今回は特別編として「ヤクルト日本一」について、OBである八重樫さんに感想を伺いたいと思います。八重樫さんはシリーズ前にはどんな展開を予想されていましたか?

八重樫 僕はオリックスの投手陣に脅威を感じていましたね。みんなが言うことかもしれないけど、山本由伸、宮城大弥の両先発はもちろん、先発陣もリリーフ陣も個性的なピッチャーが揃っていますから。ロッテとのクライマックスシリーズ(CS)でリリーフの吉田凌くんを初めてちゃんと見たんだけど、「いやらしいスライダーを投げる投手だな」って、強く印象に残りました。

日本シリーズ初戦で7回1失点の好投を見せたヤクルトの奥川日本シリーズ初戦で7回1失点の好投を見せたヤクルトの奥川 この記事に関連する写真を見る ――対戦成績の予想はどうでしたか?

八重樫 ヤクルトOBとしては「スワローズに勝ってほしい」という気持ちはあったんだけど、申し訳ないけど「オリックスの4勝3敗」を予想していました(笑)。でも、その予想は初戦を見てすぐに撤回しましたけどね。

――初戦はオリックスが山本投手、ヤクルトは奥川恭伸投手が先発しました。ヤクルトのリードで迎えた最終回にマクガフの乱調もあってオリックスがサヨナラ勝ちを収めています。

八重樫 僕の中では、山本由伸は絶対的なピッチャーだったんだけど、ヤクルト打線はきちんと粘って食らいついていました。結果的に112球を投げさせて、6回でマウンドから引きずり下ろした。それを見て、「ヤクルト打線は粘り強いな」と思ったし、「チームとしての指示も徹底しているな」と感心しました。あと、この試合の奥川くんのピッチングもすばらしかったです。

――高卒2年目の奥川投手をシリーズ初戦に起用するのも大胆な作戦ですね。

八重樫 でも、今年の奥川くんは、特にシーズン終盤にかけては圧倒的に頼りになるピッチャーでしたから。CSでも日本シリーズでも気負うことなく、普段通りのボールを投げている姿を見て、「ただ者じゃないな」と感じたし、高津監督が信頼するのも当然のことだと思います。それに、その後の奥川くんの起用に関しても高津監督のブレない姿勢が目立ちましたよね。

――詳しく教えてください。

八重樫 3勝2敗で迎えた第6戦、「中6日で奥川くんを先発させるのかな?」と思ったけど、シーズン通りに決して無理させることはしなかった。普通の監督なら、第6戦で奥川くんを使いたくなるところだけど、そこをグッと我慢した高津采配は見事でした。