ヤクルト復帰もつらそうだった岩村明憲。「その気持ちはわかるけど...」八重樫幸雄が送ったアドバイスとは?

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

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【名伯楽・中西太も認めた岩村明憲】

――さて、今回も岩村明憲さんについての続きをお願いします。岩村さんも、若松勉さんや八重樫さん同様、「中西太門下生」です。中西さんも岩村さんのことを高く評価していたと聞きしました。

八重樫 そうですね。中西さんも当初から岩村のことを高く評価していたから、熱心に指導していましたよ。彼は生まれながらの身体的能力に恵まれていて、足の力が強くて下半身がものすごく安定していました。それに、技術的にも申し分なかった。最初からインサイドからバットが出てくる理想的なスイングでしたから。バットが外回りすることなく、常に最短距離で出てきていましたね。

メジャーリーグ、楽天を経て2013年にヤクルトに復帰した岩村メジャーリーグ、楽天を経て2013年にヤクルトに復帰した岩村この記事に関連する写真を見る――当時は若松さんが監督、八重樫さんが打撃コーチでしたけど、中西さんが指導するのをどう見ていたんですか?

八重樫 神宮球場で試合がある時には、早くから中西さんも指導に来ていましたよ。僕たちも中西さんのことは信頼しているから、お任せする部分もありました。前回も言ったけど、高校を卒業したばかりとは思えないバットコントロールだったから、中西さんもますます本気になったんでしょうね。下手なベテラン選手よりも、教える前の岩村のほうが技術的には上でしたから。

――完成度の高さがハンパないですね、岩村さん。

八重樫 名前は出さないけど、不振にあえいでいたベテラン選手に対して、「岩村のティーバッティングは参考になるぞ」と言いたくなったこともありましたね(笑)。

――前回もお話に出たように、恵まれた身体的ポテンシャルと卓越した技術を持った完成度の高い選手としてプロ入りしてきたんですね。

八重樫 打撃に関してはね(笑)。守備に関してはプロに入ってからの地道な努力が実を結んだんだと思いますよ。地道な特守を何度も何度も繰り返してプロのレベルに到達しました。

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