「ここで結果を出さなければただの恥さらしだ」元DeNA寺田光輝はプレッシャーを力に変えて医学部受験に挑んだ (4ページ目)

  • 村瀬秀信●文 text by Murase Hidenobu
  • photo by Sankei Visual

石川 すばらしいですよ。僕はスポーツドクターからよくお話を聞くんですけど、本気になって患者と向き合うと全然儲からないと言うんです。医者は回転率が命なので、親身になればなるほど儲からない。だから、聞いてくれるということは相当いい人ですけど、それでもちゃんと向き合えるかどうかは、やっぱりアスリートの気持ち。たとえば「ケガしてでも勝ちたい」と突き進むような......そういう思いの部分を理解できるかなんでしょうけど、実際のお医者さんは「なんでわざわざケガするの?」「壊れるまでやらなきゃいいのに」と考える人が多いんですよね。

寺田 アスリートは基本的に、動く限りは無理をするんです。そういう性質を多少わかろうとしてくれる人はいましたけど、本音としては「もうちょっと何か方法はないですか?」というのがほとんどでした。

石川 だから、実際にアスリートの気持ちがわかる元選手がお医者さんになってくれたら、これ以上理想的なことはないですよ。ただ、そのためには医学部に入らなければいけない。これが難しいですからね。僕が取材した限りでは合格できる人って、だいたい2通りいて、学校の勉強だけでトップを取れる超天才か、何年間もみっちり勉強してやっとなれた人か......本当に極端なんですよね。寺田さんはどちらでしたか?

寺田 僕は後者ですね。1日最低5時間、最高だと9時間ぐらいは勉強していました。

石川 引退した28歳から勉強をはじめられたんですよね。医学部、むちゃくちゃ難しくなかったですか? どんな勉強をされていたんですか?

寺田 難しかったです。僕は東海大学を編入試験で受けたんですけど、試験は生物と英語と数学で、生物だけは得意で、10年前の受験生の頃に全国模試で7位。やっているうちに思い出しました。英語と数学は通っていた予備校だけでは不十分だったので、自分で過去問を模試みたいに解きながら、ほかの予備校の情報などを拾って、合格最低点を出して判定を出したりしていました(笑)。

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