ヤクルト高津監督がリーグ制覇へ勇気が必要だった決断。勝つために休ませたマネジメント術とCS突破へのキーワードも語った (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

── 正直、この練習で大丈夫だろうかと思っていました。

「練習量に関してはあまり気にしていなかったですね。練習をしたい選手は自主的にやります。室内練習場でずっと打ったりとか、走ったりとか。それでケガをすることはないでしょうし。とにかく気を遣ったのは、全体練習をすごく少なくして、選手たちがリラックスできる時間をつくることでした」

── 今シーズンは五輪中断期間もあり、とくに夏以降は神宮球場を2カ月離れ、その後は10連戦などもありました。そのなかで選手たちが怠けないように目を光らせるのではなく、選手たちが練習しすぎないように管理されていました。

「選手を休ませることって、監督として勇気がいることなんです。たとえば、シーズン終盤にセットアッパーの清水昇をベンチから外すことは難しい選択でした。野手に関しても、とくに青木はそうしたことが何度かありましたし、(山田)哲人も途中で下げたりしました。

 キャッチャーの中村悠平については、打線のなかで2番や6番を任せるなど中心人物だったのですが、古賀優大に『この試合は頑張って』と任せられるようになったことが大きかった。自分で言うのはおかしいですけど、そういった割りきりができた。その結果、ほぼフルメンバーで戦えることができました(笑)。

 それは選手がケガをせずに体調を整えてくれたことに加え、みんなのレベルがある一定の技術や考え方に達した結果と言えます。そうでなければ、青木に『やっぱり試合に出てくれないか』とか『哲人はまだ(ベンチに)下げられないな』ということが絶対にあったと思うんです」

── ベンチの選手たちの底上げがあったことで腹をくくれた、と。

「ベテラン選手たちの成長も大きかったですね。青木はもちろんですが、石川雅規だったり、川端慎吾だったり。あの年齢で成長するのは難しいですが、野球人として明らかに大きくなったと思います。若い選手たちは、彼らに引っ張られて成長したという感じです」

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