レジェンドOB岩瀬仁紀が2021年の中日を総括。「負けているのにベンチで笑顔が見られるなんて...」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

---- 中日の場合、先発投手に求められるハードルが高くなってしまいますね。

「試合前から僅差を想定するのと、何とか試合をつくろうとするのとでは投球スタイルが変わってきます。今年は柳裕也が頑張っていますが(11勝6敗、防御率2.20)、試合中盤から明らかに球数が増えていく。打線の援護が期待できない分、慎重に投げざるを得ないからです」

---- 岩瀬さんの目から見て、今年の中日打線はどこが問題なのでしょうか。

「ダヤン・ビシエドひとりに頼っている状況です。高打率の大島洋平もいますが、投手の立場からすると長打のない打者は怖くない。高橋周平が不調に苦しみ、ビシエド以外の外国人打者が機能しなかった今季は『ビシエドさえ気をつければ大丈夫』と思われてしまう。そのビシエドにしても、圧倒的な成績を残しているわけではないですからね(打率.275、17本塁打、70打点)」

---- ホームランが出にくいと言われるバンテリンドームがホームグラウンドというのも、中日の打線が弱い要因でしょうか。

「バンテリンドームを本拠地にしている限り、長打で勝つ野球はまず無理ですよ。僅差で勝つ野球、1点を取りにいく野球をしないと。今年はその形をつくれなかったということです。チャンスをつくっても点をとれないのが、相手に一番流れを渡してしまうんです。少ないチャンスをものにするには、集中力が必要になります」

---- 岩瀬さんが現役だった時、何度も優勝していた中日と今の中日は、何が違うのでしょうか?

「選手個々が自分の役割をわかって野球をやっていました。自分の仕事をまっとうしていました。今の選手は勝ち方がわからないので、自分が何をすればいいか見えていない。『自分はこんな選手なので、こう使ってください』というアピールポイントも見えていない。僕としては、今の選手たちにはもっと自分の長所を磨いてもらいたいと感じます。変にそつなくまとめようとしすぎているように見えるんです」

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