八重樫幸雄の稲葉ジャパン総括。「期待以上」だった甲斐拓也の成長と「裏MVP」のバッター (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Kyodo News

――「リード面の成長」とは、どういった点でしょうか?

八重樫 プレミア12では、相手の弱点を突くために極端に同じボールを続けるリードが印象的だったんだけど、今回のオリンピックではバッターを見ながら、その裏をかくような細かいリードをしていた印象が強いですね。日本の正捕手として、安心して任せられる存在になったと言えるでしょう。

――ヤクルト勢の山田哲人、村上宗隆はいかがでしたか?

八重樫 山田、村上に関しては、2人とも本来の力を存分に発揮できたということだと思います。稲葉監督は山田をピンチヒッターで使うのかなって思っていたんだけど、結果的にスタメン起用されたことで打席も多く回ったし、そもそも山田は大舞台が大好きなヤツだから、気持ちと技術、そして体調面がうまくマッチして大会に臨めたんじゃないのかな?

【裏MVPをあげたい選手は?】

――八重樫さんからご覧になって、山田選手は「大舞台に強い」という印象ですか?

八重樫 やっぱり、2011(平成23)年のクライマックスシリーズ(CS)の印象が強いんですよ。ルーキーイヤーだったこの年、一軍選手に故障が相次いだことで、一度も一軍出場経験がないのにCSで一軍デビューして臆せずに活躍したでしょう。新人なのに大舞台で堂々とプレーしていた印象が強烈に残っているので、山田は大舞台が好きなはずです。

――前回のプレミア12でも、韓国との決勝戦で逆転スリーランを放ちましたが、今回の東京五輪でもメキシコ戦でスリーランを放ち、韓国戦でも勝ち越し3点タイムリーツーベースヒットを放ち、大会MVPに輝きましたからね。

八重樫 すべてはルーキーイヤーのCSから始まっているんだと思います。もともと度胸があるタイプだったけど、11年の経験があって、大舞台に気持ちを持っていくことが上手になったんだと思うんですよ。

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