2021.07.01

阪神・青柳晃洋の投球に凡打の打者は「?」。ミステリアスな投手のここがすごい!

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Koike Yoshihiro

 阪神・青柳晃洋の快進撃が止まらない。

 6月29日のヤクルト戦で7回を5安打2失点にまとめ7勝目を挙げ、防御率2.02は堂々のリーグトップ(6月30日現在)。6月は4試合に登板して4連勝をマークするなど、抜群の安定感を見せている。

 なかでも印象に残っているのが6月22日の中日戦で、その内容がいかにも青柳らしいものだった。この日、7イニングを4安打1失点のピッチングを見せたが、奪った21個のアウトのうち、じつに14個が内野ゴロだったのだ。

東京五輪の日本代表メンバーにも選ばれた阪神・青柳晃洋東京五輪の日本代表メンバーにも選ばれた阪神・青柳晃洋  サイドハンドより少し低い位置から腕を振り、スピードは140キロ台前半と驚くような速さはないが、ストレートと同じ軌道から微妙に変化するツーシームが効果的に決まり、打者に的を絞らせない。わかっていてもジャストミート困難なボールを自在に操る青柳は、まさにミステリアスな投手である。

 そんな青柳について、今でも鮮明に記憶しているシーンがある。今から6年前、青柳が帝京大4年の秋のリーグ戦でのことだ。

 この日、相模原球場に足を運んだお目当ては、青柳ではなく同僚の西村天裕(現・日本ハム)だった。西村はこの時点で、首都大学リーグで25勝をマークしており、150キロを超すストレートにタテのスライダー、チェンジアップを交えた真っ向勝負のピッチングはプロスカウトから高く評価されていた。

 この試合でも西村はコンスタントに140キロ台終盤をマークするなど、スピードで相手打線を圧倒していた。だが試合終盤、ベースカバーに入った際に足を取られ転倒。この時、ダグアウトから颯爽と飛び出し、ファウルグラウンドで投球練習を始めたのが青柳だった。

 まだ体が細く、球自体に重みは感じなかったが、柔軟な関節から放たれるボールは光線のような速さと勢いがあった。

 結局、西村はタンカで運ばれ退場となり、代わりに青柳がマウンドに上がったのだが、投球練習の7球がすごかった。