岡本和真の昨年と今年の違いをラミレスが指摘。何ができていないのか? (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

【「岡本について、何も心配することはない」】

 あらためて、来日直後のラミレス氏の姿がよみがえる。2001(平成13)年、ヤクルトに入団した来日初年度、外角に遠く逃げていくスライダーにまったく対応できず、来る日も、来る日も空振りを続けていた。しかし、気がつけばNPBだけで在籍13年、2017安打を放つ偉大な記録をマークした。その秘密こそ、彼の言う「ギブアンドテイク」だった。

「おっしゃるとおり、来日直後の私は外角への変化球にまったく対応できませんでした。その対策として、私が考えたのが"振らない"ということでした。さっき言った『ギブ』の発想です。変化球が来たら素直に『ギブ』する。その代わりに、ストレートは絶対に『テイク』する。しっかりと対応する。その頃から、少しずつ成績が向上していきました」

 今年の開幕直後、なかなか結果が出なかった岡本について、「今年の岡本は本来の調子ではない」という声が多く聞かれた。仮に、今年もラミレス氏がDeNAの監督を務めていたならば、「岡本対策」の具体的なビジョンはできていたという。

「今年の開幕直後の岡本は、どこか探り探りでバットを振っているように見えました。打席の中で迷いがあるのか、かなりボール球に手を出していました。ならば、ストライクを投げる必要はありません。自軍の投手に対しては、『ストライクはいらないよ。ボール、ボールでいいよ』と言ったでしょうね。逆に、岡本が自分のチームの選手だったならば、『ストライクだけをしっかり自分のスイングで打て』と指示したと思います」

 岡本ほどの打者が不調に陥った時は、技術的な問題よりも精神的な問題、考え方の問題がほとんどだという。ラミレス氏の解説を聞こう。

「現役時代、調子が悪くなった時には、技術的な問題ではなく『脳のコンピューターがバグを起こしている』と考えていました。技術面はまったく気にならなくて、むしろ相手ピッチャー、キャッチャーに対するアプローチの仕方、分析方法、考え方が間違っているのだと思っていました。スランプの要因は、たいていは頭の問題、事前の準備の問題ですからね」

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