「○○打法」に「○○魂」。楽天・島内宏明の面白コメントから読み解く打撃理論
聞き捨てならない発言だった。
124年ぶりの節分となった2月2日。この日、31歳の誕生日を迎えた楽天の島内宏明は、報道陣からの「抱負は?」の問いに、このように答えたというのだ。
「いい年なんで、ふざけずにやっていきたいと思います」
ふざけずに──それはもしかして、あのことを指しているのではないだろうか。
昨年オフに楽天と4年契約を結んだ島内宏明 試合中に球団から配信されるコメントだ。野手なら主に打点を挙げた際に、選手の心境などがテレビ中継やネット記事で紹介される。これは楽天に限ったことではない。
「チャンスで打ててよかった」「チームのために頑張ります」
大多数がこのようなあたり障りのないコメントのなか、島内のそれは異色を放つ。
たとえば、昨季の初配信となった6月20日のオリックス戦、同点打をマークすると、いきなりこんな談話を残した。
<毎年開幕の時に星稜の山下総監督から「頑張れ」というお言葉をいただいているので。星稜魂です>(コメントはすべて原文ママ/以下同)
このように、とにかくウィットに富んでいるのだ。それらが「面白い!」と、楽天ファンを中心に拡散したのである。
そもそも、島内が織りなす数々のコメントは、レギュラーを獲得した2016年からその片鱗は色濃く出ていたのだが、陽の目を浴びたのが去年だった。ファンより「広報やチームメートを笑わせたかった」という身内ネタが始まりだったそうだが、まさかの"全国区"になってしまった......というわけだ。
だからもう、うんざりしてしまったのか? 島内に尋ねると、ふふふ、と不敵な笑みを浮かべながら、あっけらかんと答える。
「いや、それはまったく関係ないです。外野手でふざけている人が多いんで。田中(和基)、辰己(涼介)、小郷(裕哉)......基本、このあたりなんですけど、先輩としてね、僕くらいはしっかりやらないと(笑)」
コメントでもたびたび用いている"後輩イジり"で返すところ、本当にうんざりはしていないのだろう。かといって、今年もあのコメント力は健在なのかと問うと、「今のところ、まだわからない」らしい。
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