歴代No.1の破壊力と実感。山下舜平大が
加入でオリックスに投手王国の予感 (2ページ目)
普通に考えれば、山岡泰輔、田嶋大樹がその任を果たさなければならないのだが、昨シーズン、山岡、田嶋はともに4勝と本来の調子を発揮できずにいた。今季もそうしたピッチングが続くようなら、新たな若手の台頭に期待するしかない。
そこでルーキー・山下舜平大(しゅんぺいた)の出番だ。189センチ、93キロの堂々とした体躯は、これといった大型右腕が見当たらないオリックスにとってはうってつけの存在である。
高卒ルーキーにいきなり2番手を期待させるのはいかがなものか......一般論でいえば、たしかにそうだ。しかし昨年秋のドラフト前に、山下の全力投球を受けた者としては、そうした一般論など無意味なものに思えてしまうほど、持っているポテンシャルの高さは突き抜けている。
これまで数多くの快速球、変化球を見てきたが、山下のストレートとカーブの破壊力は、そのなかでもナンバーワンとしか思えないのだ。
東海大時代の菅野智之(巨人)や花巻東の大谷翔平(エンゼルス)、九州共立大の大瀬良大地(広島)もとんでもないボールを投げていたが、山下のそれは彼らの上をいく。
プロのトレーニングと食事でパワーアップすれば、今年はともかく、来年には160キロに到達しても全然驚かない。
まだ余力を残している一方で、投球フォームの合理性を追求し、理にかなったメカニズムで投げようとする頭脳と意識の高さ。実際に話をして、それは十分に伝わった。
「軸足で粘って投げることによって、体の開きを最小限にとどめることができ、全身の力をボールに乗せることができる。きちんとしたバックスピンのフォーシームを投げるためにも、すごく大切なことだと思っています。キャッチャー目線で考えると、ボールが動くほうが打ち取りやすいと思うかもしれないですけど、ピッチャーからすればボールが動くと際どいコースをストライクにとってもらえない。結局、損することが多いと思うんです」
恵まれた素質を生かして、ただ力投しているだけの投手ではない。一軍のローテーション投手になったとすれば、次の登板までの間の練習が調整優先になってしまい、強化の部分が疎かになりがちになってしまう。
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