田中将大の楽天復帰で投手陣に波及効果。
最も恩恵を受けるのは早川だ (2ページ目)
たしかに、強力打者が揃うパ・リーグ各球団を抑えるには、並大抵の能力では足りない。その証拠に、過去5年間にパ・リーグ新人王を受賞した投手は、みなプロ入り2年目以上でルーキーではなかった。
早川は近年まれに見るハイレベルな先発型左腕だが、本来の能力を発揮できなければ1年目から活躍することは難しい。田中の入団はメディア、ファンから早川に注がれる視線を分散し、のびのびと調整できる効果を生むに違いない。
リリーフ陣もクローザーに戻る松井裕樹に、セットアッパーには牧田和久、アラン・ブセニッツと実績のある投手がいる。昨季は不振に苦しんだ森原康平、宋家豪も本来は能力の高いリリーバーであり、巻き返しが期待できる。田中を中心とした先発陣が確立すれば明確な役割分担が生まれ、安定した戦いぶりにつながっていく。
野手陣も浅村栄斗という脂の乗った主軸に、若手も順調に育ってきている。とくに2019年ドラフト1位の小深田大翔が守備の負担の大きなショートに定着したことで、茂木栄五郎をサードに回せてより打撃に注力させられる体制を作ったのは大きい。昨季は故障に苦しんだ茂木だが、年間通してサードで起用されたら3割20本塁打も期待できる。
昨季4位に終わったとはいえ、近年の大型補強もあって楽天の戦力充実度はリーグ屈指になった。
それでも、次から次へと有望株が開花するソフトバンクと比べれば、まだ選手層は薄いと言わざるを得ない。また、西武、ロッテ、日本ハム、オリックスの各球団もいつ大爆発を起こしても不思議ではない、楽しみな陣容を誇る。楽天が熾烈な優勝争いを制するには、さらなる戦力の底上げが必要になりそうだ。
田中将大という偉大な存在から学び、新たに才能を開花させる選手が現れるか。田中個人の活躍だけでなく、チーム全体にもたらす波及効果が今から楽しみだ。
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