トライアウト受験→別業種に転身。「あの人」たちは今どこで何をしているか

  • Text by Sportiva
  • photo by Sankei Visual

 プロ野球界での現役続行、復帰をかけた"ラストチャンス"である12球団合同トライアウトが、12月7日に開催された。参加者のうち最速の149キロを投じた風張蓮(前ヤクルト)をDeNAが獲得。打者3人からすべて三振を奪った東大卒の左腕・宮台康平(前日本ハム)に、ヤクルトが支配下契約でのオファーを出したことが報じられるなど、土壇場で結果を残し、望みをつないだ者が今年も現れ始めている。

 一方、他球団との契約を勝ち取れるトライアウト参加者は、例年片手で数えられる程度。大多数の選手たちは、独立リーグなどNPB以外の環境で野球を続けるか、現役生活に終止符を打つことになる。トライアウトを最後に野球から離れ、新たなステージに身を投じた元選手たちも多い。

 巨人、日本ハム、DeNAの3球団で中継ぎ左腕として活躍した林昌範は、日本ハム時代の2011年と、DeNA時代の2017年オフの2度、戦力外通告を受けた。2度目の戦力外通告を受けた2017年、マツダスタジアムで開催されたトライアウトに参加。しかし、3安打を浴びるなど結果を残せず、現役引退を決意した。

2017年に現役を引退し、自動車学校で働く林(左)2017年に現役を引退し、自動車学校で働く林(左) その後は、実父が千葉県船橋市で経営している「船橋中央自動車学校」の営業部長に就任。教習生や従業員の声を汲み取り、施設の改善案を出すだけでなく、会社経営に生かそうと簿記などの資格の勉強を業務と並行して進めるなど、試行錯誤しながらも会社に貢献するべく奮闘中だ。

 今年は新型コロナウイルスの影響もあり、約2カ月間の休業を余儀なくされた。その間は売上がゼロになったが、「万全の注意を払いながら満足していただける準備を整えたい。運転の楽しさを提供できる教習所を、もう一度作り上げていく」(『スポーツ報知』2020年5月12日)と、新たなステージでも前を向き続けている。

 四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズから巨人に育成入団した松澤裕介は、戦力外通告を受けた2018年のトライアウトに参加。そのトライアウトでは、開始前
のティー打撃から、持ち味であるフルスイングを貫いた。

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