工藤公康と伊東勤に与えた幻想。野村克也は西武ナインを不安にさせた (4ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

 工藤の解説は続く。

「監督が何かひと言、ポッと言っただけで、選手たちが完全に理解するということはありません。何度も何度も繰り返し言うことで、ようやく少しずつ選手たちは理解してくれる。野球って、頭で理解したことを体で表現するスポーツなんです。そして、できなかったところを少しずつ埋めていく。そしてまた学んで、体で表現して、どんどん埋めていきながら成長していくんです」

 そして、工藤の「野村評」は佳境に入る。

「野村監督は野球のことをすごくよく理解し、人間のことを理解し、どうやってチームを作れば強くなるのか、人は成長していくのかということをすごく考えて、2年、3年計画で物事を見ることができた監督だったんだと思います。それは、自分が監督になってみてあらためて痛感しましたね」

 四半世紀超の時間が過ぎて、工藤は野村の凄みを再認識することとなったのだった。

(第4回につづく)

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