楽天には即戦力&将来性のある投手が必要。
ならば高校No.1右腕がピッタリ

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

チーム事情から見るドラフト戦略2020〜楽天編

 昨年のシーズンオフから、楽天にとってはまさに"激動"の1年だった。選手の流出もあったが、獲得でこれほど大きく動いた球団はほかにない。

 オフにサンディエゴ・パドレスを自由契約になった牧田和久を獲得。また、FAでロッテから鈴木大地を獲り、同じくロッテから金銭トレードで涌井秀章が加入。さらにロッテへFA移籍した美馬学の"人的補償"で酒居知史も加わった。

 この4選手が今シーズン、見事に戦力として機能している。

 涌井は先発ローテーションとして奮闘し、パ・リーグトップの10勝をマーク(10月13日現在、以下同)。牧田と酒居は貴重なリリーフとして終盤の1イニングを担い、鈴木は三塁手のレギュラーとしてチームトップの打率を残している。

 鈴木の加入により、打てて守れる内野陣の充実ぶりは12球団随一だろう。鈴木、浅村栄斗、茂木栄五郎、小深田大翔......このうち鈴木、茂木が3割を超え、浅村は本塁打、打点でリーグトップを走り、ルーキーも小深田も打率.275と大健闘している。

 とくに小深田の加入は大きかった。これまで遊撃手として体調面で負担の大きかった茂木をDH、三塁で使うことができ、小深田をセカンドに回して浅村をDHで起用するというオプションも増えた。

 一方、投手陣は守護神・松井裕樹が先発に転向したあとの抑え役を期待された森原康平が故障し、セットアッパーを期待された新外国人のシャギワが一軍に上がれず、やや陰りが見えたリリーフ陣だが、ルーキーの津留崎大成、新加入の酒居、育成からの叩き上げ・寺岡寛治らの"大奮投"でなんとかまかなってきた。

 先発陣も、やはりルーキーの滝中瞭太が台頭してきているが、絶対数が不足している感は否めない。

 となると、今年のドラフトは投手。しかも先発ローテーションの一角を期待できる人材だ。ただ、チーム構成を見ると、将来性を秘めた先発タイプの20歳前後の投手が少ないのが現状だ。だからといって、4、5年も待っていられない。

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