坂本勇人、山﨑康晃、村上宗隆...
外れ1位から大当たりになった名選手たち (2ページ目)
ところが、ここで大きなハプニングが発生する。ドラフト会議前には田中とともにドラフトの目玉格とされ、競合必至と見られた桜美林大の佐々木千隼にどの球団も入札していなかったのだ。
外れ1位で目玉クラスが獲れればもうけもの。おそらく、1位クジを外した全球団がそう考えたのだろう。入札を外した5球団すべてが外れ1位で佐々木を指名する、異様な事態になった。巨人はここでもクジを外し、佐々木の交渉権はロッテへ。そして3度目の1位入札で指名したのが、中京学院大の吉川だった。
吉川は身体能力の高さとプレーの華にかけては天下一品で、4年時には主力として大学を日本一に導いた遊撃手だった。ポテンシャルを高く評価される一方で、進学予定だった亜細亜大を入学前に辞退したように、内面を懸念する声もあった。
それでも、巨人入団後は井端弘和コーチ(現・侍ジャパン内野守備・走塁コーチ)に内野守備のイロハを徹底的に叩き込まれた。「スピードは荒木雅博(元中日)より上」という井端コーチのお墨付きを得て、故障の癒えた今季は攻守に一皮剥けたところを見せている。
ヤクルトの山田哲人、村上宗隆の主軸コンビも「外れ1位組」である。
2010年ドラフトで早稲田大の斎藤佑樹(現・日本ハム)、八戸大(現・八戸学院大)の塩見貴洋(現・楽天)と大学生投手のクジを続けて外したヤクルトは、履正社の遊撃手・山田を1位指名する。
当時の山田は絶対的な評価を受けていたわけではなかった。スラッガーとしては高校の5年先輩のT−岡田(オリックス)ほどのインパクトはなく、内野手としても同じ大阪の高校生だったPL学園・吉川大幾(現・巨人)のほうが知名度は高かった。
そんな選手が前人未到の三度のトリプルスリーを達成してしまう大スターになるのだから、人生はわからない。
村上は2017年ドラフトの主役だった早稲田実・清宮幸太郎(現・日本ハム)の外れ1位だった。とはいえ、村上もヤクルト以外に巨人、楽天と3球団から外れ1位入札を受けているように、その潜在能力は高く評価されていた。
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