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巨人ブルペンコーチが語った「鍵谷陽平の
重要性」と「増田大輝登板の裏話」

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Koike Yoshihiro

 ブルペンの強みとは何だろう----。

 絶対的な抑えがいる、勝ちパターンの中継ぎがいる、左右のバランスが取れたリリーフ陣が揃っている......どれも正解に違いない。

 しかし、じつはもうひとつ、ブルペンを盤石にするファクターがある。それが勝てなかった試合を預ける"ユーティリティ"の存在だ。

 今年、セ・リーグのペナントレースは残すところ1カ月あまりとなってもジャイアンツが独走している。開幕から勝ち続けている菅野智之の存在は突出しているが、安定した戦いを支えているのはリリーフ陣の健闘だ。

 抑えのルビー・デラロサ、8回を任されているセットアッパーの中川皓太が盤石なだけでなく、左キラーながら右バッターをそれ以上に抑えている左の高梨雄平をシーズン途中、イーグルスから獲得したことも大きかった。

巨人ブルペン陣を陰で支えている鍵谷陽平巨人ブルペン陣を陰で支えている鍵谷陽平 そうした勝ちパターンを確立するために見逃すことができないのが、あらゆる場面で登板し、試合を壊さない仕事をしている"ユーティリティ"、鍵谷陽平の存在である。ジャイアンツのブルペンを任されている村田善則コーチは、こう話した。

「鍵谷の存在は本当にありがたいですよね。相手バッターが右、左にかかわらず、僅差で競っていても、負けていても、勝ちパターンにつなぐ役割をしてくれます。鍵谷の存在は、ゲームを壊さないという意味で非常に大きいんです」

 たとえば7月31日、東京ドームのカープ戦。ジャイアンツの先発、畠世周が今季初先発ながら5回途中まで被安打1、失点1と順調なピッチングを見せていた。ところがジャイアンツが2点を取って逆転した直後の5回、畠はこの試合の52球目、會澤翼の頭部にデッドボールを当てて、危険球退場となってしまう。

 ここで急遽、登板したのが鍵谷だった。

 鍵谷は堂林翔太をショートゴロに打ち取り、田中広輔を空振り三振に仕留めて、この回をゼロで乗り切った。原辰徳監督もこの時の鍵谷について「急遽というなかでよく抑えてくれた。難しい状況とはいえ、自分の役割をしっかり果たしてくれた」と手放しで褒め讃えている。

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