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巨人ブルペンコーチが語った「鍵谷陽平の
重要性」と「増田大輝登板の裏話」 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Koike Yoshihiro

 9月19日、先発の今村信貴は5回を3失点で凌ぎ、打線が6回、1点を返す。1−3と2点ビハインドの6回、まずマウンドへ上がったのは鍵谷だ。2点差のままなら勝機は十分、試合を壊さない仕事を担い、マウンドへ上がった鍵谷は、大江とともにこの回をゼロで抑える。

 しかし7回、回を跨(また)いだ大江、桜井俊貴が堪えられずに4点を失い、1−7となって試合の行方はほぼ決した。8回を堀岡隼人がゼロに抑えて、この日、ジャイアンツは敗れた。しかしブルペンには大竹、高梨、中川、デラロサが残っていた。彼らを使わずして敗れたことで翌日、先発した畠を、高梨、中川、デラロサの3人が万全の状態で支えることができた。村田コーチがこう続ける。

「原則、連投は2試合まで、3連投は避けたいと思っています。そのへんの管理はしっかりしていかないといけないんですが、そうしなくて済んでいるのは、負けた試合で投げているピッチャーのおかげでもあるんです。あの(9月19日の)横浜での試合はいい負け方ではなかったんですが、堀岡にしろ桜井にしろ、鍵谷、大江もしっかり投げてくれたからこそ、勝ちパターンのピッチャーを温存できた。彼らを使わずに済ませるという役割もブルペンの中では大事な仕事ですし、だからこそ、その仕事をブルペンが果たせなかったとき、野手の増田(大輝)を登板させることになってしまいました。

 あれは正直、ブルペンにとっては恥だし、増田に申し訳ないという思いでいっぱいです。甲子園の登板のあとには、ブルペンのみんなが『ありがとう』とお礼を言っていました。増田の例は特別ですが、つまり勝てるチームのブルペンに必要なのは、全員が戦力である、ということなんです。全員が戦力なら、誰かに偏った起用になることもないし、疲れているピッチャーを休ませることもできる。勝った試合で投げたピッチャーも、負けた試合で投げたピッチャーも戦力。だから僕は、好不調はあるにせよ、全員戦力、誰をどの場面で使ったらもっとも力を発揮できるのかということを考えています」

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