青木宣親、38歳で本塁打量産の秘密。MLBレジェンドとの驚きの共通点

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

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 今シーズン、青木宣親(ヤクルト)のホームランを見るたび、「グウィンの言ってたとおりだ」と思わず納得してしまう。

 トニー・グウィン(元サンディエゴ・パドレス/享年54歳)は、メジャー通算3141安打、通算打率.338という屈指のヒットメーカーで、彼の言葉に触れる機会に恵まれたのは、イチローがメジャーに衝撃をもたらした2001年のことだった。

38歳にしてキャリアハイとなるペースで本塁打を量産しているヤクルト青木宣親38歳にしてキャリアハイとなるペースで本塁打を量産しているヤクルト青木宣親「僕は打撃に関しては頑固者です。お墓に入るまで、自分の考えが正しいと思っているでしょうね」

 人懐っこい笑顔と独特の甲高い声で、自身の打撃論について余すことなく語ってくれたのだった。

「ホームラン打者はパワーが衰えていくことでパフォーマンスは落ちていきますが、グウィン選手のようなタイプの打者も衰えはあるのでしょうか」と聞くと、こんな答えが返ってきた。

「ありません。いいコンタクトヒッターは労力を使いませんからね。ピート・ローズ、ロッド・カルー、ポール・モリターらがそうです。自分にしても40歳(当時)の今がいちばんいい打者だと思っています。そしていいコンタクトヒッターには、年齢を重ねるにつれてホームランが増えるというパターンが見られるんです。

 僕たちのような打者は、キャリアの浅い頃はフィールドに打球を散らすことに執着するのでホームランはあまり出ません。しかし、打撃への理解が深まっていくことでホームランが増えていくのです。モリターやウェイド・ボッグスがそうでした。私もそれに当てはまりつつあります」

 そして今シーズン、青木はグウィンが語る「いいコンタクトヒッターに見られるパターン」を見事に体現している。

 メジャーからヤクルトに復帰してからの数字を見れば、それは一目瞭然だ。

2018年/127試合/打率.327/10本塁打
2019年/134試合/打率.297/16本塁打
2020年/73試合/打率.309/15本塁打
※2020年は9月22日現在

 打率3割キープはもちろん、残り試合を考えれば、2007年にマークした20本塁打のキャリアハイ更新も射程圏内で、まさしくグウィンの話していたとおりの活躍を見せている。

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