入団拒否、浪人生活、猛バッシング...巨人愛を貫いた男たちの波乱万丈 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sankei Visual

 
 昨季は、内海は一軍登板なし、長野は出場機会を減らしたものの、今季はともに復調気配を見せている。求められる場所で、必死に自分の存在をアピールしている。

 2010年ドラフト1位の澤村拓一は、早稲田大の大石達也(元・西武)、斎藤佑樹(日本ハム)と並ぶ目玉候補だった。しかし、巨人と相思相愛とも言われ、MLB球団が澤村に身分照会している件が報道されたことなどもあり、巨人以外の球団は一斉に澤村から手を引き、巨人の単独指名が実現した。

 入団時には「伝説の大投手・沢村栄治を超える投手に」という期待を込めて、沢村栄治の背番号14より1多い背番号15を与えられている。

 澤村は1年目から先発ローテーションに入り、2年連続で2ケタ勝利をマーク。2015年から2年間は守護神として73セーブを挙げている。入団時の壮大な期待には及ばないとはいえ、一定の成績は残した。それでも、澤村に対する風当たりは年々厳しさを増し、9月7日にロッテ・香月一也との電撃トレードが発表された。

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 今のところ「巨人愛」を貫いた選手のなかで最高の成功者と言えば、エースの菅野智之だろう。菅野の野球人生は「原辰徳監督の甥」という枕詞との戦いだった。

 東海大相模高でも有望投手の仲間入りは果たしていたものの、佐藤由規(仙台育英→ヤクルト→楽天)、唐川侑己(成田→ロッテ)らドラフトで目玉クラスの投手に比べると注目度は落ちた。

 だが、東海大では首都大学リーグ通算37勝を挙げ、大エースに君臨。そして2011年のドラフト会議では、巨人以外は指名拒否の姿勢を打ち出して当日を迎えた。前年の澤村同様に菅野の巨人単独指名が濃厚と見られたドラフト当日、サプライズが起きた。巨人に続いて1位入札した日本ハムも菅野を指名したのである。

 1000人の観衆が集まった会場のグランドプリンスホテル新高輪は、けたたましい喧噪に包まれた。それは巨人入りを望む菅野の思いとは裏腹に、果敢に自由競争に挑んだ日本ハムを称える歓声に聞こえた。巨人との抽選の末に、交渉権は日本ハムに渡った。

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