ヤクルト清水昇が失敗を糧に急成長。プロ初勝利にこだわらない理由とは (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 また、今シーズンの目標についてはこう話していた。

「開幕ローテーションとは言えませんが、先発のチャンスをいただいたときにしっかり結果を残して投げられるように。でも、投げる機会があればポジションはどこでも構わないです。

 僕にとって去年いちばん大きかったことは館山(昌平)さんの引退試合を経験できたことで、グラウンドで最後にハイタッチしたのは僕なんです。どうにか館山さんの気持ちを受け継いで、スワローズの先発投手陣の一角として残れるように頑張りたいと思います」

 約3カ月遅れでスタートした今シーズン、開幕ローテーション入りはならなかったが、中継ぎ投手陣のひとりとして一軍スタートを果たした。

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 当初はリードされた展開での登板だったが、そのなかで11試合連続無失点を記録すると、今では勝ち試合の8回を任される"セットアッパー"となった。清水の魅力は投げっぷりのよさと、低め真っすぐの強さと安定したコントロールだ。

"ここぞ"という場面で迷いなく外角低めに投げ込み、見逃し三振に打ち取るシーンは何度見ても唸ってしまう。

 ここまで(8月11日現在)成績こそ0勝2敗だが、チーム最多の21試合に登板し、14ホールドはリーグ1位である。

 清水はここまでの結果についてこう話す。

「今年は自分をリフレッシュして、"中継ぎ1年目"という新鮮な気持ちでやっているので疲れはありません。自分のなかでは、球速よりもコントロールよく投げたいとやってきたことが、うまくハマっていると思います」

 ブルペンでは、先輩である石山泰稚、近藤一樹、五十嵐亮太からの助言も参考になっているという。

「体、心のケアの大事さを教えていただきました。打たれることもあるけど、そこで切り替えて、次にどういう気持ちで臨むのかということや、球場に早く来て体を動かしたり、ほぐしたりなど、毎日の準備についても教わりました」

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