2020.07.17

巨人でカラを破れなかった選手たち。
高田萌生は楽天で才能の開花なるか

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

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 かつては野球界で「巨人以外のチームならレギュラーなのに......」と惜しまれるような選手が、毎年のように存在していた。

 巨人は優勝をなかば義務づけられた人気球団であり、積極的な補強をするため常に選手層が厚い。それゆえ、高い能力を秘めながら控えに甘んじる選手も多かった。

 圧倒的な選手層という意味では現在ソフトバンクに水を開けられた感はあるものの、それでも巨人の選手層は変わらず厚い。そんな巨人が近年は積極的にトレードを行ない、血の入れ替えを図っている。

高梨雄平とのトレードで巨人から楽天に移籍した高田萌生 今季は楽天との間で、ゼラス・ウィーラーと池田駿、高梨雄平と高田萌生(ほうせい)の2件のトレードが成立した。とくに高卒4年目と若く、近未来の先発ローテーション候補と目された高田のトレードには驚かされた。

 高田は尊敬する松坂大輔(西武)を参考にした投球フォームが印象的な本格派右腕で、2018年にはイースタン・リーグで11勝2敗、防御率2.69、勝率.846と投手三冠を獲得している。それでも、近年は期待されながら停滞が続いており、殻(から)を破れない印象が強かったのも確かだ。

 昨年のキャンプイン直前、高田は一軍の壁をこんな風に語っている。

「一軍にはスタンドの人数だけじゃない、独特の雰囲気がありました。あの雰囲気のなかで一軍のバッターに対して力を出し切れていれば、もっとやれたと思います」

 だが、結果的に高田は自分の力を出し切る境地には至っていない。今季は開幕からファームで過ごし、イースタン・リーグではわずか1試合の登板で、防御率27.00という惨憺たる数字が残っている。

 ひとつのチームに長くいることは弊害もある。ある元プロ野球選手が語っていたことだが、たとえば首脳陣に一度でも「精神的に弱い」「送球が悪い」などとネガティブな印象を持たれてしまうと、覆すのは難しい。新しい環境に飛び込めばフラットな視点で評価してもらえるうえ、新しい指導者、同僚から今までになかった価値観を授けられ、大きな刺激を受ける可能性もある。