甲子園ではスタンドから応援。「元補欠」育成5位が巨人一軍を目指す (2ページ目)
学校の授業が始まる前の朝練習は、参加を強制されることはない。やりたければやる、やりたくない選手はギリギリまで寝ていてもいい。
「でも、やる選手は毎日、ちゃんと起きて練習する。僕は全然、行きませんでした。全体練習のあともそう。居残り練習も強制じゃないので、早く上がっても問題ない。『高校野球の練習はこんなに楽でいいのか』と思いました」
強豪校にありがちな厳しい上下関係もない。穏やかな空気の中で、松原はいつの間にか「その他大勢」の選手になっていた。
「練習する選手が伸びて、しなかった僕はそうではなかった。一学年下の上林は入学した時からすごかったですね。毎日、朝練習に行くし、自分で考えた練習をする。金属バットではなく木製を使っていましたから。高校の時から、プロを意識していたんじゃないでしょうか。僕はただただ、『すごいな』と思って見ていました(笑)」
【大学で野球を楽しみながら成長】
もちろん、松原にチャンスがなかったわけではない。3年生が抜けて新チームになった2年生の秋、ベンチ入りメンバーに選ばれたが、イップスを発症したせいで戦力にならなかった。
「2年の秋の大会は、背番号はふたケタでしたけど、試合に出ていました。でも、送球ができなくなって、どんどん自信をなくしていきました。バッティングも走塁も縮こまってしまって......。最後の夏の大会もメンバーから外れてしまいました。メンバー外が決まったあとは、試合に出る選手のサポートに徹しました」
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