八重樫幸雄が明かす青木宣親のすごさ「ボクシングで世界王者になれる」 (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

【「腕の速さ」は歴代随一】

――1年目はファームで首位打者を獲得し、2年目にはいよいよ一軍へ。この年、202安打で最多安打、首位打者、新人王を獲得する大ブレイクを果たしました。

八重樫 ファームで首位打者を獲ったけど、詳しく調べてみると内野安打が20本以上あったように記憶しているな。足が速いから、ボテボテのゴロが内野安打になった。そういうヒットも多かったと思うんですよ。だから、内容の伴った3割を打てるようになるのは、時間がかかると思っていたんだけどね。

――結果としての数字ではなく、「内容の伴った3割」を求めたんですね。

八重樫 そう。この頃に青木が言っていたんだけど、大学時代の監督からは「お前は足が速いんだから、何でもいいからとにかく塁に出ろ」と厳しく命じられていたようで、「とにかく当てる。塁に出る」っていうことを意識していた。それで走り打ちが多くなって、どうしてもバッティングが小さくなっていたんだ。ただ、プロ1年目の秋季キャンプで猛練習をしたし、2年目のキャンプ時点ですごく調子がよかったんだよね。それで、「これはいけるかな?」という見立てになったんだ。

――この時点での青木選手の長所はどんなところだったのですか?

八重樫 右手の使い方が格段によくなったのが2年目だったな。それまでは緩んだままボールをとらえていたけど、2年目になると右手に張りが出てきたというのか、きちんと伸び切ったところでボールを叩けるようになってきた。それで、飛距離も、パンチ力も大きくアップしたんですよ。そこで気づいたのは、青木の場合はとにかく「腕が速い」ということ。

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