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侍ジャパン井端コーチが説く。東京五輪
金メダルのためにやるべきこと

  • 寺崎江月●文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

井端弘和「イバらの道の野球論」(13)前回の記事はこちら

 昨年11月に行なわれた「プレミア12」。東京五輪前の最後の国際大会で、日本代表は10年ぶりに世界一に輝いたが、楽に勝利できた試合はひとつもなかった。侍ジャパンの内野守備走塁コーチを務める井端弘和氏は、その戦いをどう見ていたのか。金メダル獲得のための改善点などと併せて聞いた。

昨年のプレミア12を制した侍ジャパン昨年のプレミア12を制した侍ジャパン──あらためて、プレミア12を振り返っていかがですか?

「勝敗のルールには悩まされましたね。(12チームが3組に分かれて戦った)オープニングラウンドは、負けても2位以内で次のスーパーラウンドに出場できたんですが、どの国と一緒に勝ち上がるかわからないので、結局は負けが許されない。また、決勝のカードが日本と韓国に決まったあとの、スーパーラウンドでの韓国戦は"練習試合"のようになり、どういった位置づけで試合に臨めばいいかなど、考えることが多かったです」

──難しい大会だったと思うのですが、初戦のベネズエラ戦も7回まで4-2でリードされる苦しい展開でしたね。

「あの試合は、『四球を選んだ』というよりも『四球をプレゼントしてもらった』形で勝利できました。日本の選手もそうでしたが、相手も相当なプレッシャーの中で戦っている印象がありましたね。どの参加国も"即席チーム"の難しさが出ていたと思います。3試合目の台湾戦(8-1)は序盤からリードできましたけど、あれは互いにスーパーラウンド進出を決めていましたからね。とにかく楽な試合はありませんでした」

──韓国との1戦目はいかがでしたか?

「翌日も同カードでの試合だったので、"駆け引き"の様相が強かったですね。日本はそれまでのレギュラー陣をスタメンにして控えの選手たちを途中から起用していきましたが、韓国は逆。両チームのキャッチャーは打者の特徴を探っていたでしょうけど、攻撃の際に日本側のベンチからサインが出ることは少なかったです」

──その試合は10-8で勝ちましたが、翌日の試合への弾みになったのでは?

「いえ、『明日も勝てるのか?』という気持ち悪さは残りました。もちろん負けていたら2連敗する怖さが出てくるんですが、勝った場合も『明日勝たないと意味がない』という気持ちが生まれてしまう。国際大会で同じ相手と何度も戦う難しさでしょうし、韓国は勝負どころで豹変するチームという認識もありましたから。

 今回の韓国は、五輪の出場権を手にすることが第一目標だったでしょうから、今までのWBCの時のような"ガツガツ感"はありませんでしたが、東京五輪の本番ではまた変わってくるでしょう。それはほかの国も一緒だと思うので、今回の結果に満足はしていられません」

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