2019.12.05

八重樫幸雄が指摘。キャッチングは
「古田より谷繁をマネたほうがいい」

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi



連載第10回(第9回はこちら>>)

【左足を下げる、古田独自のキャッチング】

――前回は「ルーキー・古田敦也入団」の話題にさしかかったところで終了となりました。今回はその続きからお願いします。古田さんは1990(平成2)年の入団です。この時、八重樫さんは39歳、プロ21年目でした。古田さんの第一印象は?

八重樫 最初に感じたのは「大人しいヤツだな」って印象だったな。1990年のユマキャンプで初めて一緒に練習したけど、何を言っても、「ハイッ、ハイッ!」て、素直に返事をしていたことをよく覚えています。

古田敦也を1年目からレギュラーで起用した野村克也監督 photo by Sankei Visual――のちに大選手になる片鱗はすでにあったのですか?

八重樫 ありましたね。バッティングはパッとしなかったけど、スローイングとキャッチングはすでに光るものを持っていたからね。

――具体的にどんな点が光っていたのですか?

八重樫 彼は手首が柔らかいのが特徴で、入団当初から実にしなやかなキャッチングができたんだよね。プロのピッチャーのストレートに力負けすることなく、スーッ、スーッとボールがミットに吸い込まれていくようなキャッチングは最初からできていた。

――以前、古田さんにインタビューした時に、「僕は関節が柔らかいんです」と言って、指を曲げたり、手首をひねったりして見せてくれたことがありました。天性の手首の柔らかさは一流のキャッチャーになる素養でもあるんですね。

八重樫 そうだね。でも、子どもたちには「古田のマネをしなさい」とは言えないな。もし言うなら、「谷繁(元信・元中日など)のマネをしなさい」って伝えるよ。

――それはどうしてですか?

八重樫 古田はキャッチングの時に左足を後ろに下げて捕球するんです。右利きの場合、普通ならば右足を後ろに下げるでしょ? でも、古田の場合は左足を下げる。だから、「おいフル、どうして左足を下げるんだ? ランナーが出たらどうするんだ?」って聞いたことがあるんです。そうしたら、「ランナーが出たら元に戻します」って言うから、「それなら、最初から右足を下げた方がいいんじゃないの?」ってさらに聞いたんだよね。