「野村克也の言葉」は生きるヒントの宝庫。
八重樫幸雄は懸命にメモした
連載第9回(第8回はこちら>>)
【野村流「成功の条件」は全部で10個】
――さぁ、八重樫さんお代わりのビールも来ました。ぜひ、現役時代の八重樫さんがメモをした「野村ノート」についての続きを聞かせてください!
八重樫 前回も話したけど、野村さんのミーティングでは最初の頃は全然野球の話をしないで、ひたすら人生論、人間論が続いたんだよね。たとえば、「人生における考え方」や、「成功の条件」についてとか。
ヤクルトの監督時代、チームを3度の日本一に導いた野村克也 photo by Kyodo News――前回は「考え方の大敵はしゃべりすぎ、食べすぎ」と伺いました。「成功の条件」とはどのようなものなのですか?
八重樫 (手元のルーズリーフをめくりながら)えーとね......、「成功の条件」は全部で10個。「(1)願望の持続、(2)信念(反復の中で信念が生まれる)、(3)良き理解者に恵まれる、(4)計画性、(5)専門知識の豊富さ、(6)忍耐力、(7)判断力と決断力、(8)潜在意識の判断、(9)頭脳明晰、(10)第六感」と書いてあるね。そして、その次には「代償を求めない成果は存在しない」「生きがいを無視に成功は考えられない」と。
――なるほど、成果を挙げて成功を収めるためには代償は求めるべきだし、生きがいは欠かせないということなんですね。
八重樫 そういうことだね。 野村さんは「人間のタイプ」として7つのパターンに分類しているんだけど、人間にはどんなタイプがあると思う?
――人間のタイプですか? うーんと、権力志向タイプ、金儲けタイプ、無欲タイプ......。うーん、他に何かありますかね?
八重樫 野村さんが言うには「(1)経済型、(2)権力型、(3)理論型、(4)審美型、(5)享楽型、(6)社会型、(7)道徳型」の7タイプ。「理論型」というのは「理屈の筋を通して生きがいを感じる」タイプのことで、「社会型」というのは「人間好きで常に他人を気遣い、一緒に歩こうとする」タイプ、「道徳型」というのは、別名「宗教型」と呼ばれるもので「あらゆるものを犠牲にして世界の調和を祈る」タイプのこと。
――なるほど! ホントに面白すぎますよ、八重樫さん! でも、昼間は練習漬けの日々で、夜は風呂に入って、食事をして、人間論や人生論を聞いて、眠くなることはなかったんですか?
八重樫 中には眠そうにしているヤツもいたけど、僕は初めて聞く話ばかりだったから、むしろ楽しかった。一生懸命メモを取っていたし、全然眠くはならなかったね。
1 / 3