2019.11.20

「獲物を追う動物」プレミア12で
世界を驚かせた周東佑京の走塁術

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Getty Images

 プロ通算わずか20安打、打率は1割台。

“足”という武器ひとつで「異例の侍ジャパン入り」と評されたソフトバンクの周東佑京(しゅうとう・うきょう)。プレミア12初優勝を果たした今大会のなかで、彼の価値と知名度は一気に高まった。

プレミア12でも4盗塁を成功させた周東佑京「山田(哲人/ヤクルト)さんとかにどうやって盗塁しているのかを聞いたり、そのほかの人にも盗塁の仕方だったり、意識だったり、そういったのを聞いたりすると、すごく刺激になりますね。新鮮というか、自分にない部分が多いので、すごく勉強になりました」

 今大会ではすべて途中出場ながら4盗塁で大会の盗塁王を獲得。つまり”世界一の俊足”という称号も手にしたのだ。

 なかでも圧巻だったのは、ZOZOマリンスタジアムで行なわれたスーパーラウンド初戦のオーストラリア戦。まさしく、周東の足が侍ジャパンを救ったと言っても過言ではない活躍を見せた。

 1点ビハインドの7回、先頭で吉田正尚(オリックス)が中前打を放つと、稲葉篤紀監督は迷わずベンチから飛び出し、アンパイアに向かって一塁ベースを指差して名前を告げた。次の瞬間、テレビの実況アナウンサーは興奮した声でこう叫んだ。

「さぁ、日本のジョーカー、切り札がここで投入されます」

 周東は、何度もけん制を投げられるなど警戒されながらも、浅村栄斗(楽天)が三振に倒れた5球目に二盗を成功させた。次打者の松田宣浩(ソフトバンク)は三振で2アウトとなったが、続く源田壮亮(西武)の3球目に三盗を決めた。

「源田さんなら内野安打があると思った」

 そして2アウト三塁となった4球目、源田が選んだのはセーフティバントだった。おそらく日本中のファンが驚いたに違いない。それは周東も同じだった。しかし、それでも快足を飛ばして、最後は投手のタッチをかいくぐって同点のホームを陥れたのだ。