ホークス指名・柳町達の5位はなぜ。
秋山翔吾に匹敵する外野になれる
ドラフト会議から1カ月が経った。指名選手の入団交渉は、各球団とも順調に進んでいるように見える。大きな活字で報道される「1位指名選手」のかたわらで、ひっそりとプロに進む下位指名選手のなかに、「なんでこの順位なんだ」と思う者がいる。
たとえば、2016年のドラフトで西武から5位指名を受けた平井克典(ホンダ鈴鹿)や、2018年のオリックス7位の中川圭太(東洋大)、さらには同年のドラフトで巨人育成1位の山下航汰(健大高崎)などがそうだ。そして今年のドラフトなら、ソフトバンクから5位指名の柳町達(たつる/慶応大)だ。
大学最後の神宮大会で優勝し、有終の美を飾った慶応大・柳町達 一昨年の春、当時、慶応大2年だった柳町が早慶戦の7回裏に早稲田大の1年生左腕・早川隆久のスライダーをライトスタンドに雄大な放物線を描いて放り込んだ時は、「(東京)六大学にすごいヤツが現れた」と心が躍ったことを、今でもはっきり覚えている。
しかも前の回に一挙5点を奪われ、逆転を許した直後の満塁アーチだ。その勝負根性と集中力。体のしなやかさを最大限に利用してパワーを生み出す。秋山翔吾(西武)のようになれる選手だと思った。
それから柳町のことが気になり、昨年、今年と見続けてきたが、「あれっ......」と気づいたことがあった。打ち損じと思われた打球が、まったく凡打にならないのだ。
変化球に泳がされた打球がフェンス際まで伸びていったり、インコースのストレートに詰まったような打球でも勢いが落ちなかったり......インパクトの瞬間だけを見れば、明らかに"死に体"と言える体勢なのに、打球はまったく死んでいない。
体幹の強さとヘッドスピードの速さ。そして、もうひとつ頭に浮かんだことがあった。それが柳町のトスバッティングだ。
試合前、わずか10球前後のアップ作業のような軽いバッティング練習。なかには儀式のように、ただ漠然とバットにボールをぶつけている選手もいるが、柳町はきちんとフットワークでタイミングを取るために自然とトップの位置がつくれて、しっかりうしろから前にバットを振り抜いてボールを打ち返す。
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