期待のヤクルト新人トリオが猛練習。凡事徹底と個性を磨き激アピール

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 ヤクルトの愛媛・松山での秋季キャンプでは、毎日のように若手選手の"明るい未来"を感じることができた。年齢が違う3人の新人野手の練習を見るのも楽しみのひとつで、それぞれが個性的で、来季への期待は膨らむばかりだ。

今シーズン、一軍で5本塁打を放ったヤクルトのルーキー・中山翔太今シーズン、一軍で5本塁打を放ったヤクルトのルーキー・中山翔太 それぞれが個性的と書いたが、吉田大成(明治安田生命→ドラフト8位/24歳/内野手)は「自分の色を出すことができない1年でした」と、今シーズンを振り返った。

「自分は守備を売りにしていましたが、プロでは評価してもらうことができませんでした。打撃でも粘り強さをアピールしなければいけなかったのですが、自分の思っていた"うまい"と、この世界の"うまい"は違っていたというか......言葉で表現するのは難しいですが、プロの壁と言ったらいいのか......その壁にぶつかったんだと思います」

 吉田は春季キャンプ、オープン戦まで一軍メンバーに名を連ねたが、開幕は二軍で迎えることとなり、シーズン中に一軍昇格は果たしたが、わずか13試合の出場にとどまった。

「二軍でも結果が出なかったので、すべてをやり直そうと。まずは今までの自分を捨てました。後半に入って、ちょっとずつ形になってきましたが、守備は自分の色をつくり上げる途中でシーズンが終わってしまい、走塁はまだまだ足りないところばかりです。そのなかで打撃に関しては、夏場ぐらいから自分の形がわかってきました」

 事実、宮崎フェニックスリーグで見た吉田は、自分のスイングを見つけたようで、何よりも覚悟が伝わってきた。

「それまでは手だけで打っていましたが、青木(宣親)さんを参考にさせていただくことで、体で打てるようになってきたんです。青木さんのバッティングって独特じゃないですか。なぜあの形で打てるんだろうと真似てみたら、すごく打ちやすかったんです。青木さんを観察し、意識していくなかで、それが積み重なり、フェニックスリーグの後半からこの松山でのキャンプが一番いい感じです。自分は守備でプロに入ったと思うんですけど、今は打撃が一番じゃないかと思うぐらいです(笑)」

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