西岡剛、トライアウトの締めくくりが地元大阪で「考えるものがある」 (2ページ目)
第1打席は村中恭平(前ヤクルト)との対戦。右バッターボックスへと足を進める西岡に、この日一番の大きな声援と拍手が送られた。しかし、カウント1-1からスタートした対戦で、初球の高めの直球を空振り。1球見逃した後の3球目、アウトコース低めの直球で見逃し三振を喫した。
その後も菊沢竜佑(元ヤクルト)の前に二ゴロ倒れ、立田将太(前日本ハム)には一ゴロ、松本直晃(前西武)に空振り三振に抑えられた。
4打数無安打2三振。アピールできたとは言い難い内容で、今回の"主役"のトライアウトは幕を閉じた。
球場から引き上げる直前の取材で、西岡が真っ先に述べたのがファンへの思いだった。
「こうやってプレーヤーとして続けられているのはファンの方々のおかげ。『最後までやり切ったな』と応援してもらえる選手になりたいなという気持ちはあります」
「通算2回まで」とトライアウトへの参加規定が設けられたため、NPB復帰の成否に関わらず、西岡にとっては今回が最後のトライアウトとなる。その"締めくくり"の場が出身地である大阪の球場だったことについて話を向けられると、噛みしめるようにこうコメントした。
「中学生ぐらいからかな、このグラウンドを使わせていただいて。そのあとはプレーする機会がなくて、まさかこのグラウンドでトライアウトを受けるとは思っていませんでした。考えるものがありますね」
NPB球団からオファーがなかった場合、今季同様独立リーグでの現役続行を示唆し、西岡は球場を後にした。
今年35歳を迎えた年齢、トライアウトの4打席では、結果だけでなく、速球に立ち遅れる場面が目立つなど、現状、NPBへの復帰はかなり難しいと感じられる。
しかし、西岡の表情に悲壮感は微塵もない。あるのは、自身の可能性を信じ、挑戦を続けていく意欲だけだ。
日本球界屈指の内野手として鳴らした男が「やり切った」と感じる瞬間は、まだまだ先にありそうだ。
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