井端弘和から小園、根尾に守備の助言
「打球のバウンドが合わない時...」

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

井端弘和「イバらの道の野球論」(11)前回の記事はこちら

 今シーズンのセ・リーグで、ふたりの高卒ルーキーのショート、広島の小園海斗、中日の根尾昂が一軍デビューを果たした。

 小園は58試合に出場し、打率は.213ながら4本塁打を放つなど存在感を発揮。守備でも、一軍に昇格した直後はエラーを重ねたが、降格を経て一軍に復帰してからは徐々に安定感を増していった。対して、ほぼ2軍でシーズンを送った根尾は、シーズン終盤の2試合に出場し、安打はゼロ。秋季キャンプではショート以外のポジションにも挑戦するなど、さらなる出場機会を求めて練習を重ねている。

 そんなふたりの印象を、現役時代に中日でゴールデングラブ賞を7度獲得し、現在は侍ジャパンの内野守備・走塁コーチを務める井端弘和氏に聞いた。

注目を集めた高卒ドラ1ルーキーの(左から)藤原恭大、吉田輝星、根尾昂、小園海斗注目を集めた高卒ドラ1ルーキーの(左から)藤原恭大、吉田輝星、根尾昂、小園海斗――まず、広島・小園海斗選手の印象から聞かせてください。

「若手をじっくり育てる傾向が強い広島において、高卒1年目から一軍で58試合に出場したということだけでも評価に値します。高卒野手では、丸佳浩(現・巨人)も一軍デビューを果たしたのは3年目でしたし、現チームの不動の4番である鈴木誠也も1年目の一軍出場はわずか11試合でしたからね」

――6月20日のロッテ戦で一軍デビューを果たしてからは、少しエラーが重なりましたが。

「そのロッテ戦からの交流戦3試合で4エラーを犯し、二軍に落とされてしまいましたが、感心したのはその後です。約1カ月で再び一軍に昇格した際には、明らかに守備が上達していました。一軍で味わった悔しさを糧に這い上がってきて確かな成長が見てとれましたし、今後も向上心は持ち続けてほしいですね」

―― 一方の、中日・根尾選手についてはいかがですか?

「打撃もそうですが、高校時代に高く評価されていた守備についても、まだ硬さがあります。でも、私もプロ入りして5年くらいは硬さが抜けなかった記憶があるので、焦る必要はないと思いますよ。その硬さがいつ取れるのかは個人差がありますが、まず大事なのは『硬くてもミスをしない』こと。そして実践を積ませながら、コーチ陣がそれをどう取り除いていくかですね。しばらくは『練習では捕れるのに、試合では捕れない』という葛藤が続くでしょうけど、そこは根気よくやっていってほしいです」

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