2019.09.26

阪神ドラフトは投手より野手。
長距離砲×2指名なら会場はドッと沸く

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

チーム事情から見るドラフト戦略~阪神編

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 今年の夏、阪神の試合を観戦する機会があった。試合開始前、球場にスターティングメンバーのアナウンスが流れた時だ。すぐうしろに座っていた女性のファンが、思わずこう叫んだ。

「こんだけー」

 この日の阪神は、糸原健斗、糸井嘉男、大山悠輔に、福留孝介がいて、さらに売り出し中の近本光司もいる。そこそこのメンバーだったはずだが、それでもその女性ファンの方には物足りなかったのだろう。

U-18のW杯で日本代表の4番として活躍した石川昂弥 かつては真弓明信、掛布雅之、岡田彰布、ランディ・バース……といった球界を代表するスラッガーがスタメンに並んでいた。その頃と比べると、たしかに打線は小粒になり、迫力も欠ける。女性ファンが叫んだ言葉に、妙に納得してしまった。

 打てないチームの野球は、あまり面白くない。1点取られると不安になり、2点取られるとあきらめ気分になり、3点取られると絶望的になる。さらに相手の先発がエースだった時は、試合前からお手上げ状態である。そんな精神状態で見る野球は、疲れしか残らない。

 522得点は12球団ワーストであり、チーム本塁打92本も12球団中11位(数字は9月25日時点)。ホームランが出にくい甲子園球場を本拠地にしているとはいえ、寂しい数字であることに間違いはない。

“打てないチーム”であることは自覚していて、昨年のドラフトでは1位・近本光司(大阪ガス)、2位・小幡竜平(延岡学園)、3位・木浪聖也(ホンダ)と、上位3人を野手で固めた。当然、今年も腹を括って”野手”だ。しかもターゲットは、タイムリーが打てる長距離砲だ。

 森下暢仁(明治大)、奥川恭伸(星稜)、佐々木朗希(大船渡)という大物投手には目もくれず、いきなり石川昂弥(東邦)を指名し、ドラフト会場をドッと沸かせてみよう。

 サードには大山がいる? そんなこと構ってはいられない。ポジションを用意したのにも関わらず、いまだ自分のものにできない選手をいつまでも待っているわけにはいかない。もし仮に、ともに一軍で使えるメドがつけば、どちらかを一塁で起用すればいいだけの話である。大山を刺激するという意味でも、石川は今の阪神に必要な存在である。