2019.09.24

大器が次々と本格化。佐々木朗希を
ホークス「夢牧場」で見たい

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

チーム事情から見るドラフト戦略~ソフトバンク編

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 今年2月、ソフトバンクの宮崎キャンプでのことだった。朝9時を回ったあたり、ネット裏の記者席にいたら、外の通路からドタドタと大きな足音がして、誰だかたくさんの人が歩いてくる。

 何だろう……と思って通路に出てみたら、ユニフォーム姿の大男たちの群れが歩いている。その男たちの大きさたるや、大男が集うプロ野球選手のなかでも頭ひとつ抜けていた。

 千賀滉大、武田翔太、加治屋蓮、田中正義、石川柊太(しゅうた)……さらには成長株の高橋礼やルーキーの杉山一樹があとに続く。

 リック・バンデンハークやデニス・サファテといった大柄の外国人投手と比べても、まったく引けをとらない立派な体つき。183センチの東浜巨が小さく見えるほどだ。

今年4月、高校生史上最速となる163キロを記録した大船渡の佐々木朗希 練習が始まり二軍のブルペンに行っても、195センチの椎野新(あらた)にはじまり、193センチの中村晨(しん)、187センチの泉圭輔、187センチ左腕の川原弘之と、バッテリー間の18.44mが近く見えるような、大男たちが居並ぶ。

 その壮大な景色を見て気づいたことがある。「ソフトバンクというチームは”夢”を育てたいんだ」と。

 長身を生かして、豪快に投げ下ろす快腕ばかり。ソフトバンクのブルペンは、まさしく”夢牧場”だった。未知の可能性を秘めた投手が、コントロールは二の次とばかりに、とにかく力強いボールを投げ込む。そんな未熟さと魅力が同居していた。

 そんな”夢牧場”に似合う選手は、奥川恭伸(やすのぶ/星稜)や森下暢仁(まさと/明治大)といった投手ではなく、佐々木朗希(大船渡)だ。

 高校生史上最速の163キロを出した時には、何球団が指名するのだろうと言われていたが、岩手大会決勝で投げず、日本代表として挑んだU18のワールドカップでもわずか1イニングしか投げないなど、そうした事実にプロ側も評価が微妙に変わっていると聞く。

「見えない部分が多すぎて、ウチは怖くて獲れないよ」

 あるスカウトはそうボヤいていたが、これが佐々木の評価に対する本音だろう。だが見方を変えれば、これだけの逸材がドラフト前に評価を落とすというのはチャンスでもある。