権藤、権藤、雨、権藤の回想。
完投した翌日に150キロなんて出ない (2ページ目)
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試合時間による疲労度の違い。これはまったく頭になく意外だし、ゆえに納得がいく。
「いいピッチャーはみんな、テンポがいいわけですよ。もう、稲尾(和久)さんでも、金田(正一)さんでも、藤田(元司)さんでも、大洋の秋山(登)さんでも、阪神の村山(実)、小山(正明)にしても、捕ったら投げ、捕ったら投げっていう姿が自信にあふれてるんです。『モタモタ投げるなんて、おまえ、自信がないからだろ』みたいな風潮があって。だから、『じゃあ、捕って投げる速さも負けないぞ』みたいな。ね?」
想像するとおかしい。当時のエースたちはそういうところでもお互いに競っていたのか。
「いやまあ、競うのは気持ちのなかでね。だいたい、『おりゃあ、ツーナッシングからでもいぐ! 勝負!』っつったらね、そのほうが頭はシャープになるわけですよ。で、あの頃は、ベンチに帰ってくる、相手のピッチャーもいい。となれば、ものの5分でマウンドに出ていく。また自分も5分で仕留めて帰ってくる。だから、いつも思ってたのは、よし、今日は1時間45分から2時間の間に仕留めよう、それ以上、超えたら負けるなぁ、ということですよ。よっぽど、延長にならない限り、1時間45分から2時間の間で仕留めなきゃいかん、と僕は思ってましたね」
「ピッチャーが天下の時代」をこれほど実感できる話もない。野球は時間で終わるスポーツではないが、しかしその時代は、投手が時間を目安にして、ゲームを支配できていたのだ。
「で、あれだけ投げるもんですから、やられるもんならもう早くやられて、1日か2日かでまたいくぞーと。そのかわり、5回過ぎたからには負けるわけにはいかん、と思うわけですよ。でも、やられるなら、んなもん、今日はいか〜ん、や〜めた、みたいな。まあ、本当にやめるわけじゃないけど、あの頃、3点取られりゃ終わりですからね」
権藤さんは取材時も、おなじみのポーズだった
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