首位巨人でひと際輝く坂本勇人。
二番最強打者説をセ・リーグで考える
前半戦を終え、オールスターも行なわれたプロ野球。今年は、セ・リーグの首位を走る巨人が丸佳浩の加入もあり、坂本勇人が二番を打つなどその打順に注目が集まっている。
打順を決める際、日本では「二番は長打力よりもバントなどの技術に優れた小兵タイプ」を置くのがセオリーの一つだ。しかしMLBでは、近年二番に長打力があり、出塁率の高い強打者を置くのがトレンドになっている。というのも、セイバーメトリクス研究で「打席が多く回る上位打線には打力のある打者を置くのがいい」というデータが出ているから。つまり、「得点効率を高めるには二番に長打力のあるバッターを置くのがいい」ということだ。
前半戦は、すばらしい活躍で巨人打線を牽引した坂本勇人
実際に、地区首位を走るチームは小兵タイプではなく、長打力や出塁率の高い打者を主に二番に据えている。ヤンキースのアーロン・ジャッジや、ツインズのホルヘ・ポランコなどはその最たる例だろう。また、大谷翔平が所属するエンゼルスは、順位は地区4位だがチーム打率はア・リーグ14チーム中5位(7月14日時点)。その打線を牽引しているのは、MLB最強打者と名高いマイク・トラウトで、彼の打順も二番だ。
二番に強打者を置くMLBではある程度データどおりの結果になっていると言えるが、日本はどうだろうか。もちろん打順はチームや監督の方針で決まるものなので、どのチームも「二番最強打者説」を奉じているわけではないが、二番打者がバッティングで良い結果を残しているとチームも好調なのだろうか? 今回は、セ・リーグ6球団の二番打者の成績を調べてみた。
※記事内の選手成績は7月10日時点でのもの
●セ・リーグ順位表(7月10日時点)
1位 巨人 80試合48勝31敗1分 勝率.608
2位 DeNA 82試合39勝41敗2分 勝率.488 首位とのゲーム差9.5
3位 阪神 84試合39勝41敗4分 勝率.488 首位とのゲーム差9.5
4位 広島 84試合38勝43敗3分 勝率.469 首位とのゲーム差11.0
5位 中日 80試合37勝43敗0分 勝率.463 首位とのゲーム差11.5
6位 ヤクルト 84試合34勝48敗2分 勝率.415 首位とのゲーム差15.5
前半戦を終えた時点でのセ・リーグの順位はこのようになっている。一時期首位を走っていた広島が交流戦最下位と大ブレーキで順位を落とし、その後も調子が上がらず、首位巨人とは現在、大差がついている。交流戦前は一時最下位だったDeNAは、徐々に順位を上げ、現在は2位。阪神は交流戦前の巨人戦3連敗もあって借金2の3位。中日は打線が好調なものの防御率が悪く5位で、ヤクルトは16連敗が大きく響き、最下位と低迷している。
さて、この順位を踏まえて各チームの二番打者の成績を見ていこう。
●リーグ1位 巨人 坂本勇人(二番で61試合でスタメン出場)
試合:80
打席:364
得点:57
安打:97
本塁打:25
打点:63
盗塁:4
犠打:1
犠飛:1
三振:78
併殺打:9
打率:.303
長打率:.566
出塁率:.383
現在首位の巨人で不動の二番を務めるのが坂本だ。開幕当初に一番だった吉川尚輝がケガで離脱し、4月は一番を務めていた時期もあったが、結局は二番に戻り、三番の丸佳浩と「サカマル」コンビで打線をリードしている。交流戦でやや成績を落としたが、打率.303はリーグ5位。本塁打は25本でリーグトップタイと、その数字はクリーンアップ並み。長打率はリーグ2位、出塁率はリーグ7位と、「二番最強打者説」そのものの成績だ。
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