「二番に強打者」が多いパ・リーグ。
その成績とチーム順位の関係は?

  • 中田ボンベ@dcp●文 text by Nakata Bonbe
  • photo by Kyodo News

 前半戦を終え、オールスターも行なわれたプロ野球。今年は、セ・リーグの首位を走る巨人が丸佳浩の加入もあり、坂本勇人が二番を打つなど、その打順に注目が集まっている。

 ここ数年、MLBでは「二番に強打者を置く」ことがトレンドとなっている。これは「得点力を高めるには打席が多く回る上位打線に打力のある選手を置くべき」という、セイバーメトリクスの理論に基づくもので、すでに多くのMLBのチームが取り入れている。例えば、ヤンキースはアーロン・ジャッジを二番に据えており、現在地区首位と好調だ。地区順位は4位(7月14日時点)だが、大谷翔平の所属するエンゼルスも、MLB最高の打者と称されるマイク・トラウトが二番を務めている。

前半戦は、ケガの影響もあり、出場機会が減っている今宮健太前半戦は、ケガの影響もあり、出場機会が減っている今宮健太

 日本では、1990年代後半から2000年代前半にかけて、日本ハムが小笠原道大を二番に据えて強力な「ビッグバン打線」を形成したことが知られている。最近では、2017年に楽天が長打力のある助っ人外国人を二番に起用して注目を集め、チームも3位と好調だった。

 もちろん打順はチームや監督の方針で決まるものなので、どのチームも二番に最強打者を置いているわけではない。とはいえ、やはり二番打者がバッティングで良い結果を残しているとチームも好調なのだろうか? 今回は、パ・リーグ6チームの「二番打者の成績」を調べてみた。

※記事内の選手成績は7月10日時点でのもの

●パ・リーグ順位表(7月10日時点)

1位 ソフトバンク 84試合48勝32敗4分 勝率.600
2位 日本ハム   84試合41勝39敗4分 勝率.513 首位とのゲーム差7.0
3位 西武     82試合41勝40敗1分 勝率.506 首位とのゲーム差7.5
4位 楽天     82試合40勝40敗2分 勝率.500 首位とのゲーム差8.0
5位 ロッテ    81試合39勝40敗2分 勝率.494 首位とのゲーム差8.5
6位 オリックス   83試合36勝42敗5分 勝率.462 首位とのゲーム差11.0

 パ・リーグの順位はこのようになっている。交流戦を優勝(勝率1位)したソフトバンクが7ゲーム差で首位。日本ハムが2位、西武が3位と続くが、2位以下の順位については、6位のオリックスを含めてもそれほど差はない。どこかで大きな連勝や連敗をしたチームがあれば、すぐに順位は入れ替わりそうだ。

 では、各チームの二番打者の成績はどうなっているのだろうか?

●リーグ1位 ソフトバンク 今宮健太(二番で33試合スタメン出場)
試合:61
打席:260
得点:34
安打:64
本塁打:9
打点:25
盗塁:3
犠打:2
犠飛:0
三振:40
併殺打:1
打率:.271
長打率:.415
出塁率:.333

 主力の離脱が相次ぎ、なかなかスタメンが固まらなかったソフトバンクだが、今季最も多く二番を務めているのが今宮(現在、登録抹消中)だ。2013年、2014年には年間62犠打を記録するほどの高いバント技術があるだけでなく、2017年には14本塁打を打つなど一発も期待できるバッター。今季もチーム4位タイの9本塁打と活躍しており、現状は「打てる二番打者」と考えるべきだろう。

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