井端弘和ならではの新生・原巨人論。
「小林誠司は見限られていない」

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

井端弘和「イバらの道の野球論」(1)

 今年もプロ野球が開幕し、各地で熱戦が繰り広げられている。とりわけ注目を集めた開幕カードは、オフに丸佳浩、長野久義の移籍で話題を集めた、広島と巨人の開幕3連戦だろう。

 昨シーズン、広島に7勝17敗1分と大きく負け越した巨人は、2勝1敗と勝ち越してスタート。3度目の指揮を執る原辰徳監督のもと、セ・リーグ優勝と日本一奪還を目指して"大型補強"を行なったチームはどんな戦いを見せるのか。

 昨年まで巨人の1軍内野守備走塁コーチを務め、現在は解説者として活動しながら侍ジャパン強化本部の編成戦略担当を担う井端弘和氏に、古巣の展望を聞いた。

丸をはじめ、大型補強を行なった巨人丸をはじめ、大型補強を行なった巨人――広島から丸佳浩選手を獲得するなど、"大型補強"を行なった巨人の印象はいかがですか?

「巨人らしいなぁと思いますし、驚きはありません。かつては小笠原(道大)さんや(アレックス・)ラミレス、その前にも清原(和博)さん、広澤(克実)さんなど、たくさんの強打者を獲得してきましたからね。私も中日時代にそうでしたが、他のチームの選手にとって『巨人を倒したい』というモチベーションが上がる要因にもなりますから、今年はより面白い試合が見られるんじゃないでしょうか」

――37歳の岩隈久志投手(元マリナーズ)、36歳の中島宏之選手(元オリックス)などベテラン選手とも契約しましたが、球団には「若手の"お手本"になってほしい」といった狙いがあるんでしょうか。

「メジャーリーグでの経験を含め、さまざまなことを伝えてほしいという期待もあるでしょうが、勝利を義務づけられている巨人だからこそ"戦力"として期待されている部分が大きいと思います。首脳陣は、岩隈には1軍の先発ローテに入ってほしいでしょうし、中島にもスタメンを奪うくらいの存在であってほしいと思っているはずです。そうでなくても、中島にはケガ人が出るなどの緊急時にスタメンを任せられる実力と実績がありますし、右の代打としても重宝されるでしょうね。

 西武から獲得したキャッチャーの炭谷(銀仁朗)に関しては、決して小林(誠司)を見切っているのではなく、併用することで配球を偏らせないなどの狙いがあると見ています。シーズンをひとりのキャッチャーに任せられるのが理想ですが、小林が"一本立ち"する過程だと考えても、いい補強だったと思います」

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