2019.03.06

「どうしてあんな打球が…」
オリックス頓宮裕真は山川穂高級の大砲だ

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 昨年の秋、ドラフト前の亜細亜大・頓宮裕真(とんぐう・ゆうま)の評価は12球団で大きく割れていた。

「大学でいくら打ったからといって、プロに行ったら真っすぐも変化球もベースの上の動き、勢いが全然違う。プロは馬力より反射神経と柔軟性。大学であれだけ打った岩見雅紀(慶応大→楽天)だって、あれだけ苦労しているじゃないですか」

 そう語ったスカウトがいたように、まったく評価していない球団もあった。

ドラフト2位でプロ入り後、捕手から内野手にコンバートされたオリックスのルーキー・頓宮裕真 そんな話はよくあることで、アマチュアの”長距離砲”はよく誤解される。なぜなら、プロで活躍する長距離砲は、そのほとんどが”ミートの達人”であるからだ。逆に言えば、いくらパワーがあっても、バットの芯でボールをタイミングよくとらえる技術を兼ね備えていなければ、プロの長距離砲として活躍するのは難しいということだ。

 山川穂高、中村剛也(ともに西武)、柳田悠岐(ソフトバンク)、筒香嘉智(DeNA)……そのバッティングスタイルを思い浮かべていただければ、決して力任せにスイングしているわけではないということがわかるはずだ。

 頓宮のバッティングに技術を感じ始めたのは、昨年のことだ。大学のリーグ戦ではストレートを待っているのにチェンジアップをあっさり神宮球場の左中間に運んでみたり、追い込まれてから相手の勝負球をカットするように逆方向にライナーで打ち返してみたり……強引に引っ張らず、相手のボールにタイミングを合わせて、一番ヒットになりそうなところに弾き返す。

 2月のキャンプで見た頓宮のバッティングが、そのとおりの打ち方だった。フリーバッティングでは、昨年25本塁打のステフェン・ロメロと並んで打っても、まったく遜色ない打球がセンター中心に飛んでいく。

 紅白戦では、追い込まれてから落ちる系のボールに対して、踏み込んでから一瞬間(ま)を置き、左中間スタンドに持っていった。