2019.03.06

誰もが認める西川龍馬の天才的打撃力。
広島のセンター争いが面白い

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 広島の”新しい外野手”がチーム内競争を刺激している。巨人から丸佳浩の人的補償により新加入した長野久義だけではない。昨年まで三塁を主戦場とし、今季も内野手登録の西川龍馬もまた、広島に加わった”新しい外野手”と言っていいだろう。

昨年は自己最多の107試合に出場し、打率.309をマークした西川龍馬 西川は敦賀気比高校を卒業後、「(大学へ行くと)甘えてしまうと思った。自分で稼ぎながら野球をやろうと。1年でも早くプロに行きたいという思いが強かった」と、社会人野球の王子製紙に進んだ。

 そしてドラフト解禁となった2015年に広島から5位指名を受けてプロ入り。1年目から一軍で結果を残し、昨年は安部友裕の不振もあり、三塁の一番手として自己最多の107試合に出場した。打率は3割をクリア(.309)。入団1年目から毎年出場試合数を伸ばし、安打数だけでなく、二塁打、三塁打、本塁打……すべての数字を年々上げている。

 また昨年は代打でも打率.341、2本塁打、13打点をマークし、強力広島打線のなかでも貴重な存在となっていった。「試合に出れば打つ」をバットで証明してきた。

 だが、数字からは順調のように見える歩みは、本人としては決して満足できるものではない。

 天才と称される打撃を繊細な感覚で追求し続けている。社会人時代に出会った日本ハムの中田翔モデルのバット(長さ85~85.5センチ、重さ905グラム)をプロに入っても使い続けている。長さ、重さが異なるほかの選手のバットを振ることを嫌い、「握った時の感覚がおかしくなるのが嫌」と、握ることさえもしない。もちろんマスコットバットも使用しない。

 ベンチスタートの試合では、投手の代わりにネクストバッターズサークルに立つことがあるが、マスコットバットやロングバットを手にしても「なるべく片手で持つようにしている」という徹底ぶりだ。

 2017年には、侍ジャパン・稲葉篤紀監督の初陣となったアジアプロ野球チャンピオンシップで打率.636で首位打者に輝き、ベストナインにも選出されるなど、大舞台での強さも示した。