2018.09.09

記録的最下位からCS進出へ。
ヤクルトを変えた青木宣親の献身力

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 長いシーズンも気がつけば終盤戦に突入。ヤクルトはシーズン96敗という記録的最下位に沈んだ昨年から一転、クライマックス・シリーズ(CS)進出も現実味を帯びている。今季のチームスローガンである「再起」を実現している大きな要因のひとつに、年ぶりに日本球界に復帰した青木宣親(のりちか)の存在がある。

ここまで(9月8日現在)打率.328とチームトップの成績を残している青木宣親 たとえば、青木の姿を練習から試合終了まで追えば、その”存在感”の大きさを知ることができる。

 勝利に導くヒットはもちろん、チームが苦境に立たされたとき「声を出さずにはいられないんだよね」と、消沈することなく最後まで勝負をあきらめない姿勢。全体練習が終わったあと、室内練習場でマシン相手に打ち込む姿。バレンティンたちがつくり出す明るい練習風景を眺める澄んだ眼差し。青木の言動のすべてがチームに計り知れない好影響をもたらしている。

 青木は言う。

「去年96敗もすれば、みんな自信をなくすに決まっているし、”今日”という日が来るのが億劫だったと思うんですよ。僕はそこを前向きにしようとしただけの話です。すべてがそのとおりになったかはわかりませんが、開幕した頃と比べれば心のぶれはなくなっていますよね。みんなから『よし今日もやってやるぞ』という姿が見える。やっぱり勝つことって、自信になるんですよ。実際、チームは2位につけていますし」

 今年2月、沖縄・浦添での春季キャンプで石井琢朗打撃コーチは「青木にはチームの精神的支柱になってほしいですよね。チーム全体を少し引いたところから見てくれる存在というんですかね」と話してくれた。そのことについてあらためて聞くと「十分に実現しています」と満足そうな表情で語った。

「やっぱりチームが苦しい時って、コーチの言葉よりも選手同士でまとまる力が大事なんですよ。(青木は)見えないところで選手たちに声をかけてくれていますし、野手最年長ですが、おとなしいチームのなかで先頭に立って声を出してくれている。本来なら、少し下の年代の選手が先頭に立って声を出してほしいんですけど(笑)。今は青木がひとりで2つの役をやってくれていますが、その姿を見て、ほかの選手たちがどう感じとってくれるのかですよね」