外崎修汰は美味しい男。
「アップルパンチ」は好機に強く、右が強烈!

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

「山賊打線」や「獅子おどし打線」という物騒なネーミングがまさにふさわしいほど、西武打線の攻勢が止まらない。

 7月29日時点でいずれもリーグトップの492得点(2位:日本ハム=393点)、打率.275(2位:ロッテ=打率.258)。バットだけでなく96盗塁(2位:ロッテ=90盗塁)と、足もリーグトップの威力だ。失点数、防御率ともにリーグワーストながら、圧倒的な攻撃力で西武が10年ぶりの優勝へ首位をひた走っている。

ユーティリティプレーヤーとして貴重な戦力の外崎修汰ユーティリティプレーヤーとして貴重な戦力の外崎修汰 首位打者を争う秋山翔吾、本塁打と打点の二冠を視野に入れる山川穂高など多士済々(たしせいせい)の山賊軍団にあって、周囲と異なる存在感を放つ男が大卒4年目の外崎修汰だ。通称、アップルパンチ――。

「あいつ、美味しいな」

 少年ファンが甲高い声で「アップルパンチ!」と呼びかけた際、ベテランの栗山巧がニンマリとしてつぶやいたことがある。子どもがさけびたくなるほどキャッチーなニックネームは、実家がりんご農園を営み、おそらく「アンパンチ」になぞらえてつけられた。外崎が打つたびにファンがツイッターでそう連呼していたところから、今ではヒーローインタビューで本人が決めゼリフとするまでになっている。

「実家のりんご農園で鍛えられた丈夫な身体が武器」

 富士大学4年時に2014年ドラフト3位で指名された際、担当スカウトは外崎の卓越した身体能力をそう評した。

「関係......ないっす(笑)。子どものころから足は速い方でしたけど、力はそんなっすね。ガリガリでした。高校に入って自分ではガリガリだと思っていたら、周りから『めっちゃムキムキだね』って言われて、そこから『俺、ムキムキな身体なんだ』って(笑)」

 子どものころ、木から落ちたりんごを投げて遊んでいると父親に怒られた記憶はあるが、それが野球の能力につながったかは定かでない。筋トレを重ねたわけでもなく、気づけばムキムキになっていた。だが、弘前実業高校時代は「バットに当たったら飛ぶけど、あまり当たらなかった(苦笑)」と振り返る。

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