外崎修汰は美味しい男。「アップルパンチ」は好機に強く、右が強烈! (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

「性格的にはマイペースですね、時間には(笑)。親は怒らなくて、自分も怒れないんですよね。怒り方がわからない。ケガをあまりしないので、身体は強いんじゃないですか」

 豊かな自然環境のなかで心身ともに純粋培養された外崎は、富士大学に進んで才能を開花させる。大学の1歳先輩で、現在西武でともにプレーする山川は入学時から光るものを感じたという。

「身体っす。ボディバランス。身体つきと、身体の使い方が抜群にうまかった。だから今も、どこのポジションでもできると思いますし。走れるし、振る力があるし。振ることに関しては僕も負けないですけど、走ったり、守ったりする動きはトノ(外崎)には勝てないですからね」

 富士大学時代に台頭した外崎だが、プロで花開くまでには2年の潜伏期間を要した。俊足と小技など攻撃面では才能の片鱗を見せていた一方、守備時のスローイングやキャッチングに課題があり、当初期待されたショート、そしてサードやセカンドでレギュラーを取るには至らなかった。

 飛躍のきっかけは、辻発彦監督が就任した2017年、出場機会を増やすために外野で起用されるようになったことにある。レフトやライトの守備に慣れ始めると、持ち前の俊足強肩を武器にダイナミックなプレーを連発していく。

 一方、打撃では2017年5月終了時点で打率.195と思うような結果を残せないなか、なんとか走者を進塁させるべく右打ちを意識すると、光明が見えてきた。

「1軍で出始めのときは右に打っている余裕もなく、とにかく自分のもともとのバッティング(引っ張るバッティング)をして、結果を求めていた部分が全部でした。でも、右に打ったほうが確率も上がるなということがわかり、ランナーがいないときもそうするようになりました」

 右打者にとって走者の進塁につながる右打ちは必要な能力だが、誰もがこの点を徹底すればいいわけではない。右に打とうとするあまりに窮屈なスイングとなり、こじんまりした打者になるというワナもあるからだ。

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