2018.06.22

「お前ら負け犬か」石井コーチの檄から
ヤクルトが王者になっちゃった

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 パ・リーグの9年連続勝ち越しで終わったプロ野球セ・パ交流戦。だが、最高勝率球団となったのは、交流戦前までセ・リーグ最下位だったヤクルトだった。交流戦前に最下位チームが1位になるのは初めてで、前年最下位だったチームの優勝も史上初だった。そんな快挙を達成したヤクルトに、一体、何が起きていたのか?

交流戦で10試合に登板し、1勝7セーブ、防御率0.00をマークした石山泰稚■5月29~31日/ロッテ戦(神宮)/2勝1敗

「お前ら負け犬か。やることをしっかりやろう!」

 ヤクルトは交流戦初戦となった5月29日のロッテ戦で1-5と完敗。2戦目の練習前の野手ミーティングで、石井琢朗打撃コーチは選手たちに厳しい言葉を投げかけた。

「交流戦としてはまだ1敗しただけでしたが、僕の中ではリーグ戦との”区切り”をつけたくなかった。それまでに連敗していましたし、交流戦に入ってもズルズルいきたくないところがありました。選手たちに『なにくそ!』という気持ちを持ってほしかったので、『お前ら負け犬か』と問いかけるような言葉になったんです」(石井コーチ)

 その2戦目は雨で試合開始が遅れるなか、4-1と快勝。3戦目は雄平が一塁へ足から滑り込む”執念”の内野安打でチャンスを広げ、下位打線の西浦直、大引啓次がつなぎ逆転勝利。ロッテとの3連戦を2勝1敗と勝ち越した。

■6月1~3日/楽天戦(仙台・楽天生命パーク)/3勝0敗

 2カード目となった楽天との初戦、2回表に「9番・レフト」で出場していた荒木貴裕のタイムリーで先制すると、終盤の8回には8番・中村悠平が押し出し四球を選び、続く荒木の犠牲フライでダメ押し。理想的な展開で5-2と勝利を飾った。

 今回の交流戦ではヤクルトの下位打線が得点に絡むことが多く、上位から下位まで”打線”としてうまく機能していた印象がある。そのことを石井コーチに聞くと、こんな答えが返ってきた。

「そうですね。特に楽天戦ではDHがあり、8番までを動かさず、投手のところ(9番)に荒木を入れて、それがうまくはまってくれました」